弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

任期付公務員 大いに語る
(3/4)

それぞれのポストの今後

【鈴木幹事長】本当に充実されているというお仕事振りをうかがいました。少しおうかがいしたいのですが、皆さん任期付きということで今のポストにいらっしゃるわけですが、皆さんの任期が終わったあとは、後任のかたが同じようなポジションで採用予定になっているのでしょうか?

【井上氏】私が今いる部署は、弁護士を採用するのは初めてだったそうで、今後どのようにしていくのかは現時点では未定のようです。

【鈴木幹事長】田中さんの今のポジションは、田中さんが任期が終えられたあとはどうなるのですか?

【田中氏】法曹資格者を前提とした募集は行われない見込みと理解しております。ご参考までに申し上げますと、私が経済連携課に任用された当時は、日・印、日・豪及び日・ペルーの3つの経済連携協定交渉が進行しておりましたが、そのうち2つの交渉(日・印及び日・ペルー)が2010年後半に妥結したところですので、現在、アクティブに進行中の交渉は、基本的には1つだけであると承知しております。

【鈴木幹事長】米田さんのポジションはどうなのでしょう。

【米田氏】現在既に後任の募集がかけられています。私が所属している企画課は、二十数名の課員のうち、任期付公務員の弁護士が5名、非常勤も合わせると計9名の弁護士が所属していますので、弁護士がすぐに馴染めるような環境にあると思います。

【鈴木幹事長】藤田さんのポジションはどうですか?

【藤田氏】後任の公募がかかると聞いています。どうしても専門的な知識が必要とされる課ですので、弁護士を含め、出向者が多く必要とされています。経済産業省全体で見るとまだまだ弁護士は少ないなという印象を受けているのですが、一方で弁護士を必要としている課は多くあります。「産業組織課に弁護士がいるんじゃない?」という話を聞きつけて、省内のあらゆる部局から問い合わせがくることもしばしばありまして、経済産業省内では弁護士の需要はあるのだろうと思います。また、私がよくカウンターパートとして相対する法務省や金融庁は、確実に弁護士2人~3人くらい出てくるのは通常で、それを考えても経済産業省にはまだまだ弁護士が増えてよいのではないかと思っています。

【鈴木幹事長】役所の雰囲気としては来てくれるのであれば雇いたいという雰囲気なのですか?

【藤田氏】業務内容から考えるとそうなのですが、おそらく予算の問題もあって増やしすぎることもできない状況なのかなと思います。

【鈴木幹事長】そうですか。予算となると財務省の関係をご理解いただくと…。これは弁政連の働きどころでしょうか。一応PRして…(笑)


今後のキャリアパスのイメージ

【柳楽氏】任期が終わったあと、どういうキャリアプランをお考えなのか、お聞かせいただけますか?

【米田氏】私は元の事務所に戻る予定です。政策が決定され、実施され、検証・評価されていく過程に携わることができ、とても新鮮で貴重な体験をしましたし、例えば大臣答弁をするにあたって、どのような準備が必要でどれだけの人が夜通し働いているかというところから想像していなかった世界があり、ニュース一つを見るにしても捉え方が変わったなと実感していますので、そのような点を含めてこの1年で得た経験を生かせるといいなと思っています。

【鈴木幹事長】田中さんは今後どうでしょうか。

【田中氏】今後は弁護士としての仕事をしたいと思っています。以前、指導を受けた先輩弁護士の下で、訴訟などの国内の法律実務をやらせていただきたいと思っています。
外交交渉というと、我々弁護士の仕事とかけ離れたものと思われるかもしれないのですが、特定の論点について、相手国と日本が、対立する利益の実現を目指して戦うという意味で、少なくとも私が担当した知的財産分野の交渉は訴訟と似ていると感じておりました。行司役(裁判官)のいない環境で、二当事者対立構造の戦いを効果的に進めるには、訴訟手続の諸原則について、法曹としてのトレーニングを受けていたことが、交渉に役に立ったと思います。

【鈴木幹事長】では井上さんは。

【井上氏】任期があと約1年あるので、任期を終えた後のことは現在考えている最中です。現在の業務で、ポジティブ・アクションをどのように企業の中に広めていくかということを扱う中で、企業内で働くということにも興味が出てきたので、そういった選択肢も含め、もうしばらく考えようかなと思っています。

【鈴木幹事長】色々選択肢を模索しているということですね。藤田さんは事務所に戻るのですか?

【藤田氏】そうですね。元の事務所に戻る予定で、勿論今扱っているような制度が弁護士業務に役に立つであろうということもあるのですが、それ以上に個人的に思っているのは、これまでずっと法律は所与のものとして、その解釈をどうするかということを考えていたのですが、今回出向に来て、そもそも法律でどういうことが出来るか、もっと言うと、どういう政策を打ち出すところから始まるのか、といった新たな視点を持つことができたことが自分にとって大きかったと思います。さらに、多くの企業にヒアリングに行かせていただいて、企業の人がどのような思いで、どのような考えを持っているのか、ということを感じることができて、そういった経験が今後の実際の案件に何らかの形で活かせていければそれが一番よいかなと思っています。


▲このページのトップへ