弁政連ニュース
新春インタビュー(1/3)
仙谷由人内閣官房長官にきく
- 梶谷剛 理事長
- 飯田隆 副理事長兼広報委員会委員長(聞きて)
- 鈴木善和 幹事長
2010年12月17日
長官が兼務される法務大臣室にて
― 政権交代後、行政刷新・公務員制度改革などを担当する内閣府特命担当大臣に就任、その後、国家戦略担当大臣にも就任されましたが、振り返ってみてどのような感想をお持ちでしょうか。
野党の議員から大臣になりました実感として、この一国の行政の一部分、政治責任を負って行政を執行するのは大変なことだなと思いました。
行政刷新の内閣府特命担当大臣として始めました事業仕分けは、有難いことに大変高い評価をいただきました。事業仕分けについては、既にあちこちで述べたり書かれたりしておりますが、弁護士からも仕分け人として参加いただき活躍していただきましたことについては、改めてお礼を申し上げたいと思います。
私が任命されました内閣府特命担当大臣という名称は皆さん余り聞き慣れないかもしれませんが、今、この内閣府特命担当大臣には8人が任命されています。これは自民党政権時代からの各省縦割りを越え、出てきた政治課題を政策化し、新しい制度的な構築をしていく必要が出てきたためです。要するに守備範囲が各省限定されておりまして、間に色々な空間、野球で言えばポテンヒットがぽとぽと落ちるような隙間が色々出来ていたということが、内閣府に何々担当というのが出来てきた理由だと思います。また、ある種の統合的作業とし て、各省庁横並びの中で少し高いところから政策調整をやらないと上手く政策が出来ないこととも関係があると思います。
ところが、内閣府特命担当大臣となりまして思いましたのが、内閣府というのは非常に判りづらい組織だなということです。内閣府の主任の大臣は内閣総理大臣、「内閣府の主任の大臣たる内閣総理大臣」と内閣府設置法で書かれております。今、蓮舫さんがしている内閣府特命担当大臣は、総理に代わって補佐をするというもので、権限の主体という書きぶりになっていません。従って、組織的な命令系統は、あくまでも点線で部局に結ばれております。そんなことで、日本の行政組織と政治の関係は判りづらい、外からみても中にいても判りづらいものになっています。
今、8人大臣がおりますが、副大臣、政務官は3人ずつですので、政務三役の政治主導で各政策を実行していくということになりますと、副大臣と政務官は複数の大臣の間を担当として走り回るという格好になります。これはエネルギーの使い方としてはなかなか腰が落ち着かないもので、大臣としても自分の代役として使おうとしてもなかなか難しいという感じがしました。
梶谷剛理事長をまじえ懇談
― その後、国家戦略担当大臣にも就任されましたが、国家戦略担当とはどのような仕事をされる大臣なのでしょうか。
国家戦略担当大臣の発令当時の総理の指示書では「税財政の骨格や経済運営の基本方針等について企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当」ということになっています。私の時代認識でいいますと、日本は20年前からグローバリゼーションという大きな波に洗われて、「第三の開国」という状況に直面しています。この大きな世界のうねりの中でプレイヤーとして日本はどのように生き抜いていくべきか、これを考え実行に移すのが国家戦略室の課題だと思っていました。
国家戦略担当となると、少々大きめな政策課題も出て参りました。例えば、CO2の削減に関する、地球温暖化対策基本法を前国会に出しましたが、こうした法案は、環境省、経産省、外務省というところが主たるプレイヤーですが、農林水産省も関係し、その他官庁も全く関係しないところはないという法案です。そこで、誰かが相互調整の役割をしなければならないということになります。この役割を国家戦略担当が引き受け、現実の日々の課題の相互調整をするということになります。かつて財務省が実質的にやっていた最終的な相互調整をするのが国家戦略担当ということとなっておりましたので、大変忙しいことになっていました。
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