弁政連ニュース
特集〈座談会〉
行政府への出向者 大いに語る
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行政府の中に入って感じたこと
【鈴木】実際に行政の中に入ってみての感想はいかがでしょうか?

【相澤】】私は番号制度のチームリーダーを担当させて頂きましたが、業務上、国家戦略室長や当時の副総理などに直にいろいろと相談して進めるのが当たり前の感じでしたので、官僚であれば相当年次の高い方の担当する仕事をさせて頂いていて、そういった意味では非常に責任の大きい仕事を任せていただけたかなと思います。但し、ロジ周りやコピー取りなど、官僚であれば年次の低い方の行う作業も沢山やりました。
【島村】私の所属する室は、大臣や政務官から直接指示を受けて行う業務も多く、週1回は政務三役会議ということで、大臣や政務官に直に報告を上げることになっています。官僚の方々が優秀なのはよく聞く話ですが、実際に霞が関におりますと、大臣、副大臣、政務官がキチンと仕事の中身を把握して意思決定をし、指示を出されていることが大変印象的です。
【鈴木】江黒さんいかがですか?
【江黒】子育て分野を担当することになりまして、とにかく現場に出ようと。幼稚園、保育所などの見学に行ったり、幼稚園や保育所の先生方、有識者、企業や子育て世代の方に話を聞いたりしていきました。一から保育や幼児教育、待機児童問題の現状などについて勉強していきました。
【鈴木】組織の空気とかやり方とかに慣れるのに戸惑いとかそういのは当然あると思うのですが、どのくらいで慣れるものですか?
【相澤】業務に慣れるという観点からは、当初は新しいことばかりですから当然相応の経験と時間がかかりますが、組織に慣れるという意味では、比較的すぐに馴染めたと思います。というのも、戦略室自体が民間の登用者を活躍させて民間の風を行政に取り入れようという趣旨がすごく強い組織なので、色々な意味で普通の行政官庁とは雰囲気が違うのだ と思います。簡単に言えば、基本的にはフラットな組織で、上下関係が通常の官僚組織のような厳格なものとはなっていません。官僚も民間出身者も、各人が各自の知見や専門を活かすことが求められており、相応に発言権も責任も負っています。机の形も、普通の官庁では課長から順番に並んでいたりするのですが、そういう形にはなっていなくて、三角形が組み合わさったような形なのですが、これも組織のあり方を表現しています。このように特殊な組織でして、通常の官庁に比べれば意見も言いやすくて馴染みやすい雰囲気であると思います。
【江黒】「チーム」という感じですね。各企業、各官庁からだいたい一人ずつ集められていて、民間人の割合も多いですし、組織自体も新しい。
【島村】私の所属する室も、総勢11名の小さな部署ですが、そのうち民間出身者が6名、室長も民間人ということで、かなりフラットな雰囲気です。
【鈴木】そういう意味では皆さんの立場で行っても比較的なじみやすい場所だったということですか。
【相澤】そうですね。ちなみに、これは新しい世界や組織に入るときの一般論になってしまうかもしれませんが、その世界では新参者であり分かっていないことも多いわけですから、謙虚な姿勢でどのような仕事も厭わずに引き受けることで、業務にも組織にもよりスムーズに馴染んでいけると思います。
【鈴木】岡本さんのところはどうですか?

【岡本】行政刷新会議事務局というのは、そもそも事務局長が民間の方です。シンクタンク「構想日本」の代表をしている加藤秀樹氏です。先程もお話しましたように事務局には民間出身の方が次々登用されています。また事業仕分けという極めて目的のはっきりしたミッションが与えられていて、それに向けて、国会議員や民間の評価者(仕分け人)とまさにチームとして事業仕分けを成功させるということでやっていましたので、最初から風通し良く仕事をさせていただいたなと思います。事務局の職員は現在40人くらいいるのですが、民間出身者は幹部も含めると10人くらいいます
【鈴木】通常の任期付公務員で行かれる弁護士とそこは随分違うのですね。

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