弁政連ニュース

特集〈座談会〉

政策秘書の現状と展望

─弁護士の新たな活動分野として─

政治の世界から見た弁護士会・日弁連

【鈴木】政治の世界から弁護士会や日弁連を眺めると今までとは違って見えるようなところもあったと思うのですが、深津さん、いかがですか。

【深津】他の業界、他の団体と違って、特定の党派を支援するというわけではなく、日弁連・弁政連の立ち位置は難しいのだろうなと感じました。

河﨑

【河﨑】良い意味でも悪い意味でも弁護士会はムラ社会だなという気はします。外に対して閉鎖的で、お高い感じがするのは、「悪い意味」でのムラ社会の側面ですよね。一方で、「良い意味」というのは、今日なんかもそうですが、お互いに弁護士同士だとわかると、なんとなく安心感があると言うか。議員事務所には本当に種々雑多な人たちが訪れるのですが、そんな中でも弁護士の人が意見書や陳情をもって来ると、ある程度品質を信頼して受け取れる、というのはあるような気がします。

【渡辺】議員会館にいるとよくいろんな個人や団体の意見書などをもらうのですが、その中でやはり群を抜いてクオリティが高くて、なおかつ中立的な意見書をいただくのが弁護士会なんですよね。しかし同時に、これ一体何人の人が読んでいるんだろうと思うこともあります。非常に丁寧に持ってきてくださって、弁護士同士ということでお話しさせていただいたりするのですが、感じるのは、やはり他の団体と違って、「何が何でも」という必死さがないという点です。そこが弁護士会の良いところでもあり、共感できるところでもあるのですが。

【柳楽】隣接士業の人たちって本当に必死じゃないですか、業界団体としての利益を守るために。政治連盟の組織率も高かったり、議員にも強く働きかけをしたりとかしているようなのに、どうも日弁連はその辺のやり方がちょっとうまくないのかな、という気が正直しています。なんかやられっぱなしの感じがするし、いいこと言ってもいまいち届いていないし、そのあたりを、政策秘書という立場でご覧になってどうなのかな、と思ったのですが。

【池本】他の士業と異なって、弁護士に関する議員連盟もありませんしね。

【小島】確かに、もう少し強い働きかけがあってもいいと思います。ただ、その裏返しといいますか、日弁連は余り変な働きかけをしない、自分たちのためではなく社会のために活動しているという認識は永田町に一定程度あると私は思っていまして、それが故に発言権も上っているのではないかと思います。日弁連の反応は、政務三役も相当気にしていまして、会議に出ていても「これは日弁連、どう言いますかね」とか、そういうことはかなり言われています。他の団体は余りそんなふうには話に出てこないです。

【鈴木】そうですか。

【柳楽】「これ、日弁連どうせ反対だろ」みたいな扱いではないのですか。

【小島】少なくとも、日弁連は反対されると怖い団体というイメージはあると思います。何かの政策について、日弁連が提言しているから「じゃあそれをやりましょう」とは余りならない気がしますが、何かをしようというときに反対されると怖い。金も票もない団体だけれども社会的な影響力は強い、反対されると進まなくなる、という怖さはあるんじゃないでしょうか。一方で、日弁連のここが良くない、積極的提言が通りにくい原因かなと思っているのは、1つは先ほど必死さがないという話もありましたが、もう1つは他の団体とあまり協議をして根回しをする習慣がないことだと思います。例えば、よく聞くのは日弁連が意見をもってきてどこの反対にあって駄目になるかというと、だいたい学者の反対にあって止まると聞きます。出来れば、日弁連内で意見をまとめるときに学者を何人か入れて、その学者を巻き込んでいって、更にその学者の周囲の学者にもイエスと言わせる環境を整える。特に名前が通っている学者が入っていると、最終的な局面で他の学者もイエスと言わざるを得ないと思います。そのような形で、環境づくりもセットにして提言をできれば、今よりも、もっともっと提言は通り易いんじゃないかなと思います。また、学者だけじゃなく、NPO や各士業等の関係する他の団体も巻き込めればもっと良くなるんじゃないでしょうか。


政策秘書のススメ

【鈴木】弁政連は2010年の活動方針で、「弁護士の新たな活動分野として政治・行政の場を位置づけ、これをサポートして参ります。」と謳っていて、議員、政策秘書、政府機関、自治体へと積極的に人材を送り込むための支援をしていこうとしているのですが、そのうちの1つである政策秘書という仕事について、やりがいや楽しさのようなものをお話しいただければと思います。

【深津】政策秘書をしていた1年3か月は楽しかったですね。垣間見るだけでしたが、法律が作られていく過程や、法案に至るまでの政策の段階を見ることができたと思います。弁護士業務をしているだけではできないことですので、いい経験ができたと思います。また、政策秘書時代に環境政策を研究することができ、これが今の仕事にもつながっているので、いいきっかけになったと思います。

池本

【池本】新人の弁護士としてはとても出会えないような各方面での先生方にも出会えるという特権もありますし、わからないことがあって自分では調べきれない時に、省庁などから色々なことを聞きたいなと思ったときに、いきなり電話をかけて、「こういうことを教えてください。秘書なので」というとだいたい教えてくれるというような特権もあります。議員にくっついて色々なことを調べて、それで視野が広がって、既存の業務だけではなくて、「あ、こんなところに弁護士必要だな」と思いつくこともあると思うのです。そういうところにどんどん弁護士を派遣して、弁護士に今迄なかったような業務を弁護士が作るというようなこともありえるのではないかと思います。

【小島】新人の弁護士としてはとても出会えないような各方面での先生方にも出会えるという特権もありますし、わからないことがあって自分では調べきれない時に、省庁などから色々なことを聞きたいなと思ったときに、いきなり電話をかけて、「こういうことを教えてください。秘書なので」というとだいたい教えてくれるというような特権もあります。議員にくっついて色々なことを調べて、それで視野が広がって、既存の業務だけではなくて、「あ、こんなところに弁護士必要だな」と思いつくこともあると思うのです。そういうところにどんどん弁護士を派遣して、弁護士に今迄なかったような業務を弁護士が作るというようなこともありえるのではないかと思います。


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