弁政連ニュース
特集〈座談会〉
政策秘書の現状と展望
─弁護士の新たな活動分野として─
政策秘書になったきっかけ
【鈴木】深津さんは古川俊治先生について政策秘書をやっていたのですが、政策秘書になられたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
【深津】古川先生とは弁護士として同じ事務所にいました。2007年7月の参院選で古川先生が当選し、所内で政策秘書の募集がありました。祖父が長く代議士や市長をしていたこともあり、政治の世界とは親和性があったため政策秘書に応募しました。
【鈴木】池本さんは新62期で、ほとんど弁護士経験のない中で、いきなり政策秘書ということなのですが、政策秘書をやってみたいなということになったのはどういう経緯なのでしょうか?
【池本】修習中、指導担当の事務所に、政策秘書の説明会があるという日弁連ニュース(175号)が届いていて、修習先の事務所の先生から「こういうのがあるんだけれどもどう?」と言われたのがきっかけです。ひたすら職を探していた時期で、政策秘書の説明会に行って面接をするという時点になって、法律事務所の方からも採用しますという連絡を受けて、どちらにしようかと悩んで議員と法律事務所の先生の双方に相談したところ、どちらからも兼任でいいよということになりまして、どちらも登録して兼業するということになりました。ですので、法律事務所に籍を置いたのと政策秘書になったのはほぼ同時でした。
【鈴木】小島さんはいかがですか。
【小島】昨年の衆議院選挙の2か月くらい前でしょうか。私が早稲田の法科大学院でお世話になった先生からお話がありまして、「政策秘書に法曹有資格者が入るチャンスが出てきそうだ。リーガルマインドをもった人が政治の世界に入らなければ政治は良くならない。今こそ立ち上がらなければならない。」と言われ、「やりましょう」と堅い握手をしたのがきっかけです。
【鈴木】渡辺さんは,どういうことで、政策秘書に?
【渡辺】最初のきっかけは、インターネット上のSNS で友人の弁護士が政策担当秘書の募集について書き込んでいるのを目にしたことです。弁護士業務ではなかなか縁のない立法府での経験を積むチャンスと大変興味を持ちました。ただ、急に事務所を離れるとなると、事務所にもご迷惑をお掛けすることになります。しばらく悩んでいたのですが、思い切って所長に相談してみましところ、「今後の人生にとっていい経験になるし、やってみたらどうだ。色々なおもしろい話、経験があったらたまに来て聞かせてくればそれでいいから。」と仰っていただけたので決意した次第です。
【鈴木】河﨑さんは、どうでしょう。
【河﨑】少し昔の話になるのですが、ロースクール時代にエクスターンシッププログラムというものがありまして、その当時、村越議員がその受け入れをやっていたんですね。その期間中に郵政解散がありまして、私もちょうど夏休みだったこともあり、乗り掛かった舟ということで選挙活動のお手伝いをしました。結果としてその選挙で彼は落選したのですが、その後もかたや落選中の議員、かたや司法試験受験生というお互い砂を噛むような二人ということで(笑)、交流がありまして、昨年夏に彼が復活当選をした時に、「政治主導を実現するためには実務者レベルのサポートが必要だから、ちょっと力を貸してくれないか」ということで、そういうことなら、とお受けしたと、そういう経緯です。
政策秘書の仕事
【鈴木】政策秘書の日常の仕事はどのようなものなのですか。
【河﨑】本当に雑多な仕事をしていて一言では言えないのですが、大きく分けますと、「政策」と「選挙」になると思います。通常の時期には、政策会議ですとか、院内集会ですとか、各種の勉強会ですとか、そういう所に出て報告を上げたり、代議士の関心事項について学者や国会調査室、国会図書館に問い合わせてレポートしたりと、「政策」の仕事がメインになります。地元から来た陳情を処理するというのも大切な仕事の一つで、陳情が発展して政策提案につながることもありますので、これも広い意味で「政策」の仕事でしょうか。政治家の事務所に持ち込まれる陳情の多くは法律相談を含むものですので、弁護士出身の政策秘書はこの点で有利だと思います。また、「選挙」になったら地元に手伝いに入ることも多いです。
【鈴木】小沢鋭仁大臣の政策秘書である渡辺さんは?
【渡辺】河﨑さんが今おっしゃったのとほぼ一緒で、雑多で何でもやるのですが、うちの議員の場合は、政策担当秘書は政策をやるのが筋だから、基本的には政策関連の情報収集・分析をするようにと。現在、小沢は当然のことながら環境大臣としての職務に大部分の時間を費やしておりますが、もともと小沢の専門は環境にとどまらず、財務、金融、税制等多岐にわたりますので、広く国政全般について分析を怠らないようにと言われています。
【鈴木】小島さんはどうですか? 議員会館にいるのですか?
【小島】当初、議員会館にいた時には政策について調べたり、あちらこちら代理出席したり、政策会議に出たり、陳情を受けたりしていました。その後、内閣府の大臣室にもいるようになりました。幸運なことに、内閣府でどのようなことが行われているか、国がどのように動いているかを見ることが出来ています。
【鈴木】池本さんはどんなようなお仕事を?
【池本】私の場合はもともとプロの秘書というのがいないような事務所で、メインは秘書業務ですね。あとは会議や勉強会、院内集会等の代理出席もありますし、報告もありますし、地元の方とかいろいろな方の陳情処理もありますし、ほぼ河﨑さんと一緒です。私はまだ弁護士業もほとんどしていない状態でもありますし、社会人経験もそれほどないので、議員からはまずは見習いだねという感じになっています。地元は神奈川七区の横浜市都筑区・港北区で国会からも近いので、たまに地元の方でお手伝いや、地元で行われる各種パーティー等に代理出席をしたりもします。
【鈴木】深津さんは今は政策秘書を終えられているわけですが、政策秘書をされていた1年3か月の間、具体的にはどのようなことをされていたのですか。
【深津】情報収集として、自民党の政務調査会の各部会の傍聴、官僚・学者・企業・業界団体の方々のインタビュー、各省の審議会等の傍聴、国会図書館での資料収集などを行いました。古川先生は環境政策にも関心が高いので、国立環境研究所や電力・ガス会社の研究施設の視察を企画・同行したこともあります。このようにして得た情報は、古川先生に報告するとともに、これらの情報を基に、法案を審議する委員会での質問を作成し、またホームページやニュースレターの記事として意見を発信するお手伝いをしました。
古川先生が超党派の議員連盟である健康食品問題研究会の事務局長をしていましたので、私は勉強会の企画や講師の手配などのお手伝いをしました。
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