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枝野幸男 衆議院議員 講演会報告
平成21年12月9日午後6時から弁護士会館1701会議室において、日本弁護士政治連盟主催で、民主党枝野幸男衆議院議員(第二東京弁護士会43期)を招いて、講演会が開かれ、日本弁護士連合会宮﨑誠会長、当連盟尾崎純理企画委員会委員長を始め、当連盟のメンバー及び政策秘書志望者等を中心に約80名が参加した。
枝野議員からは、立法過程、ロビィング及び政策秘書の役割のほか、枝野議員が統括していた事業仕分けについて、具体的な事例を交えながらお話しいただき、最後に「政治主導への動きは、もう止まらない。こうした動き、公開の流れの中で、政治家も、政策能力のない人は今後淘汰されていく。こうした中、政治家にもますます弁護士出身者が増えて然るべきであり、これを機に政治に参加いただきたい。」と締めくくっていただいた。
講演内容は当連盟にとって有益な示唆に富むものであり、今後の活動に生かしていきたい。
なお、講演後質疑応答も活発に行われ、その後枝野議員を囲んで懇親会が開催された。
講演内容の概要は以下のとおり。
Ⅰ 立法過程、ロビィング及び政策秘書について
- (1) 立法過程
- 現在変革の過程にある。
- 新政権下においては、従来と異なり、族議員やアンダーグラウンドでの取引を避けるため、政策決定は内閣に一元化し、与党で法案の了承手続をとらないこととした。
- ただし、与党も自らが法案の内容に関わらないままで議論も無しに法案に賛成できないため、与党の関与の仕方については、尚模索中であり、今後も本質的に常に問題となる点である。
- (2) ロビィング
効果的なロビィングのポイントは以下の3点。- 獲得目標を明確にすること。
- キーマンを二人(多数派形成のために走り回る事務局長的な当選2,3回の若手議員と重石となる当選6回以上の議員)抑えること。
- 話しを持ち込む順番、段取りを考えること。
- (3) 政策担当秘書について
- 政策担当秘書として成功するには、専門分野を限定せず、あらゆる分野に一定の素養を有し、あらゆるものを適切に捌く能力を有することと、多数派形成のための作業、人と話すことをいとわない、といった政治的センスが必要である。
- 法案の作成にあたり衆議院、参議院の法制局若しくは霞ヶ関と議論する際には法律の知識が必要となるが、かかる法律知識は上記の政治的センス・興味を有することが大前提で、それに加えてのプラスαとなるにとどまり、司法試験に合格して資格があるから政策担当秘書にと軽々に考えるべきではない。ただし、こうした政治的センスを有すれば、本人の能力とついている議員次第で相当の仕事をこなすことができて面白い仕事である。
Ⅱ 事業仕分けについて
- (1) 事業仕分けにより漢方薬は保険適用除外とされたとの誤報に見られるように、マスコミは一次情報にあたらず、財務省の掌で踊らされている。
- (2) 事業仕分けは、個別の事業について、客観的に明らかに、目的が目的としての合理性を失っているもの、目的と手段の因果関係が欠如しているものについての議論であり、政治的判断を要するものは対象でない。全体としての科学技術予算を減らすという議論でなく、現状の縦割り、細分化、重複、中抜き、ピンはねという科学技術助成のやり方を見直そうというものである。
- (3) 我が国では、過去、予算、対象事業について、政治もマスコミも、目的と手段を区別せず、目的の重要性ばかりを議論し、目的と手段の因果関係、手段の合理性、合目的性について議論してこなかった。今回一部の人とはいえ、目的と手段の因果関係、手段の合理性、合目的性という意識が共有できたのは事業仕分けの大きな成果である(ただ、マスコミの上部はまだ目的のみの議論から変わっていない)。今後3年くらいの間に意識転換して予算の作成、議論の仕方が変われば我が国の財政を相当立て直すことができる。
- (4) これに対し、要求官庁は、議論の次元を目的に戻し、また議論を抽象化し抵抗している。財務省も、議論を抽象化して天下り等を棚上げにし、数字だけは事業仕分けの結果どおりの削減を求めるような策動をしている。こうした動きをきちんと検証していけるかが、事業仕分けがその意図のとおりに短期的に効果を挙げるかどうかにつながってくる。
- (5) なお、事業仕分けの1時間は短いという批判もあるが、今回の対象事業の殆どは過去には継続事業として議論の対象ですらなかったものを初めて議論するようになったものであり、加えて、仕分け人は事前に2,3時間準備のための勉強をしており、時間が短いという批判はあたらない。
(企画委員会副委員長 上山直樹)
弁護士から政策担当秘書になった会員紹介(その1)
- 1. 氏名
- 2. 所属弁護士会名
- 3.採用された国会議員のお名前
- 4. 政策秘書としての抱負
- 新井健一郎(あらいけんいちろう)
- 東京弁護士会(新61期)
- 柿沼正明(かきぬままさあき)衆議院議員(民主党)
- 弁護士という法律専門家が、司法界のみならず、立法の世界においても、果たすべき役割があるはずだと思い、政策秘 書になりました。もとより未熟ではございますが、弁護士の名前に恥じないように頑張るつもりです。
- 小島秀一(おじましゅういち)
- 東京弁護士会(新61期)
- 仙谷由人(せんごくよしと)内閣府特命担当大臣(民主党)
- 「坂の上の雲」、名もない多くの国民が己の信条に命を懸けていた時代の物語。翻って、自らを省みる。浅学非才の身ですが、兎に角、覚悟だけは持ち、世のために働く議員の一助となれるよう頑張っていきたいです。
- 中田圭一(なかだけいいち)
- 東京弁護士会(現61期)
- 中後淳(ちゅうごあつし)衆議院議員(民主党)
- 今回、弁護士から政策担当秘書になることにご尽力いただいた関係者の皆様に、まずはこの場をお借りしてお礼申し上げます。私は、国会事務所にみならず、選挙区の地元の事務所で勤務することも多くなる見込みです。その際は、弁護士として依頼者からの聞き取りを行った経験を生かして、有権者の話をよく聞いたうえで、具体的にどのような政策によって有権者の要望を実現できるか、代議士とともに考えることのできる政策担当秘書を目指したいと考えております。
- 渡辺 拓(わたなべひろむ)
- 第二東京弁護士会(60期)
- 小沢鋭仁(おざわさきひと)環境大臣(民主党)
- 地道な歩みを丁寧に重ねて行くその先に、一つでもこの国を良くする何かを残すことができるのではないか。永田町の奔流にもまれながら、そのようなことを考えている今日この頃です。今後ともご指導のほどお願い申しあげます。
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