弁政連ニュース

特集〈座談会〉

民事扶助・日弁連援助事業の公費・国費化(3/6)

DV被害者保護の問題

【安藤】DV被害者の問題に移ります。山﨑さん、お願いします。

【山﨑】DV被害者援助のうち、刑事は、告訴とか被害届を出すことは最近あまりなくて、警察もDV事案に対して介入が積極的になってきたので、既に逮捕されているとか捜査が始まっているという段階で被害者が相談に来るケースがほとんどで、起訴前の示談交渉がメインになります。示談の金銭を要求する行為は、民事扶助の利用になるという運用になっています。また、裁判になれば国選被害者参加制度でやっていくことになりますが、裁判になるケースはほとんどありません。

民事は、ほとんどの方が離婚したいという相談に訪れます。そのときに法テラスでは二つの法律相談の仕組みがあって、一つは、従来型の民事扶助。もう一つは、DV等法律相談援助という、数年前にできた制度です。後者のDV等法律相談援助は配点型で、法テラスにDV被害者から連絡があった際に、法テラスが弁護士会から提供された名簿に基づいて配点をして、原則2日以内に法律相談を実施することになっています。ただ、法律相談だけで代理援助はありません。国の予算の関係で法律相談だけになってしまったそうです。ですが法律相談だけで解決できるケースというのはあまりなく、主訴が離婚ですから、代理援助がつかないと法テラスを利用する意味がないのです。そのため、このDV等法律相談援助は原則2 日以内に相談というハードル もあいまって、件数も当初の予定ほど伸びてないと思います。

その結果、DV被害者はほとんどの場合は従来型の民事扶助を結局利用することになります。お金に余裕がない方がほとんどで、特にDV事案であれば、相手方と自らは接触できないというケースですので、弁護士が介入する必要性が高いんですが、そうであるにも関わらず、民事扶助は償還前提なので、お金がかかるという理由で躊躇される方が一定数います。その辺は、私はよく「月5000円で弁護士がつけられるんですよ」という話をするんですが、そうした広報をもっと国がしてくれたらいいと思っています。離婚案件として最後に財産分与なり慰謝料なりで経済的利益が見込めれば、そこから一括償還というのがほとんどですが、夫がお金を持ってないケースだと、法律的に離婚だけ成立したというだけで経済的な利益なく終了しますので、終了後も本人が償還義務を負ってしまいます。正直、私選の弁護士費用に比べれば大きな金額ではないのですが、本人にとっては償還が残る可能性があるというのは、弁護士を頼むときのハードルになっていると思います。

また、民事扶助の弁護士費用の基準が低すぎるために、法テラスを利用してDV事件を担おうとする弁護士が少ないという問題があります。この点を解決するには、法テラスの弁護士費用の基準を上げていくことしかないかなと思っていますし、そうであれば全額償還制は無理があるので、免除、少なくとも一部免除などの制度を導入していただかないと、DVに関して、本当に必要な人に弁護士のサービスが届かないと実感しています。

あと、先ほどの小坂さんのボランティア的な活動というお話とほぼ同じなんですが、一般的な離婚事件に比べてDV事案っていうのは、これ弁護士の仕事なのかなっていうような活動が必要になってくるケースが多いです。例えば面会交流の付き添いや、荷物の引き取りに同行したり、あるいは行政的な各種手続に際し、弁護士が行政に対して「この人は離婚成立してないですが扶養者である夫の同意を得られないので、児童手当を受給させてください」といった意見書を書いたりなどです。それらについては弁護士費用が支給される枠組みはないです。



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