弁政連ニュース

特集〈座談会〉

民事扶助・日弁連援助事業の公費・国費化(2/6)

子どもの問題

【安藤】続きまして、3分野のお話を、お伺いしていきたいと思います。

まず子どもの問題について、小坂さんからお願いします。

【小坂】子どもをどう定義するか、難しいのですが、未成年者というと18歳未満の子です。今日は、もう少し広げて18歳19歳あるいは20歳をちょっと超えた若年者についてお話をさせていただきます。子どもも、法律的な紛争に巻き込まれることがあります。ですから弁護士を依頼するということがありえます。但し、民事の金銭的なトラブルについて未成年者の場合は、通常法定代理人である親が問題解決に動くことになりますので、親が弁護士に頼むことが多い。しかし中には、子ども本人が弁護士を頼まないといけないという状況もあります。例えば、親権者である親から虐待を受けている。そして虐待を受けている状況を解消するために、親権停止の申し立てをしたり、養親の場合には離縁の申し立てをすることがあります。こういう場合は未成年者本人が弁護士を頼んで裁判手続を行うことがあります。このように、かなり限られたところではありますが、未成年者本人が、弁護士を依頼するという状況があり、その際に民事扶助の利用が必要とされる場合があります。

子どもの問題点としてお話したいことが3つあります。

一つは、18歳未満の未成年者が、民事扶助を利用するときに、法定代理人(主に親権者ですが)の同意が必要とされており、未成年者単独では利用ができないという問題があります。同意が求められる趣旨は、法定代理人の同意がないと法テラスとの契約が取り消しの対象となってしまって、法テラス側から見ると償還義務が確実なものにならないからということだと思います。しかし、先ほど言ったように虐待を受けた子が親権者を相手に親権停止とか離縁をするっていう場合は、対立当事者になっている親が同意することは考えられませんから、大きな支障になってしまいます。実際に子どもが親の親権停止を申し立てたり、離縁の申し立てる場合には弁護士に委任しています。子ども自身が委任状を書いて、弁護士が手続するのですけど、これに民事扶助の代理援助が使えない実態があります。そのため、そういう場合は日弁連援助の子どもに対する法律援助を利用するという実情になっています。しかし、そもそも未成年者が単独で可能な手続で、かつ親権者が対立当事者になっている事件について、民事扶助の利用に親権者の同意が必要とされるというのは不合理ですので、親権者の同意という民事扶助の要件は不要にすべきです。

二つ目は、収入の乏しい未成年者や若年者が民事扶助を利用する場合にも償還義務が課されるという問題です。未成年者や若年者の中には特に成長段階で親から愛情を持って育てられなかった場合に、心理的に不安定さを抱えている、それによって就労が安定しないという人たちがいます。そういう人たちが法的紛争を解決するために弁護士の援助を受けようとすると、当然民事扶助を利用する必要性が高い。でも仕事が安定してない中で民事扶助を使おうとすると、将来償還義務が課されることが大きなプレッシャーになります。それによって弁護士へ依頼することが躊躇されます。ですから民事扶助の申し込みの時点において資力収入が十分ではない一定の未成年者あるいは若年者については、償還義務がない給付型とすることが検討されるべきです。今の償還免除の制度は、例えば生活保護受給者、障害のある方、高齢者など、類型的に免除の対象になっていますが、未成年者とか未成年の頃に虐待を受けたような若年者についても、類型的に資力の回復が困難であると判断して給付型の民事扶助とすべきです。

三つ目は、例えば行政機関を相手にする交渉といった活動に、法テラスの民事扶助が利用できないという問題があります。例えば虐待を受けて家を飛び出さざるを得なかった子どもの代理人に弁護士がついて、生活場所を確保したりとか、就学とか就職支援をする。そういう活動が広く行われています。具体的に言うと子どもの暮らす施設や里親に措置をする児童相談所と協議をするとか、生活保護の決定をする福祉事務所と交渉する、あるいは学校と協議するなどということもありますが、こういうことに民事扶助は使えません。こういった活動はかなりの年数、広く実績が積まれてきていて、活動の必要性については疑いのないところだと思いますので、民事扶助の対象とされるべきだと思っています。補足的に言うと最近できた法テラスのDV等法律相談の中には、虐待を受けた子どもの相談も類型的に含まれているんですが、相談まではするけれども、民事扶助の代理援助はしないっていう制度になっています。やむなく、日弁連援助で少しでもカバーしているのが実情です。これも不合理だと思っていますので、改善が求められます。

【安藤】弁護士がボランティア的に業務を行う事例もあるのでしょうか。

【小坂】親権停止とか、離縁が必要になる子どもの援助っていうのは、裁判手続だけでは終わらないですね。その他いろいろな手続をします。いきなり裁判するんじゃなくて親と交渉することは当然ですし、そういう子は結局生活場所も奪われたりしてますので、児童相談所や施設といろいろ交渉します。あるいは自立支援といってその子たちが就職するために一緒にハローワークに同行したりなど、本当にいろんな活動しています。さらに言うと、支援の終わりがいつになるのかわからないというところもあって、成人したら終わりとはなりません。結局、どこまでが法律援助の対象の活動で、どこからがボランティア活動かよくわからない、そういう活動を弁護士がやっているという実態はたくさんあると思います。

【安藤】18歳未満の方の法テラス利用が単独でできない理由に「償還義務の履行を確実なものにすることがあるため」とのことですが、結局、償還義務さえクリアできれば、未成年者の単独利用でも問題なかろうということなんでしょうか。

【小坂】おっしゃるとおりです。理屈としては、給付型になれば単に利益を得または義務を免れる行為ということで民事扶助契約が取り消しの対象とならず、未成年者が単独で契約できるというふうに理解されると思います。従って、法テラスの民事扶助を給付型にしてしまえば、その問題はなくなるだろうと思います。



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