弁政連ニュース

INTERVIEW

政治分野における男女共同参画推進の課題(2/4)

赤松 良子 早稲田 祐美子

日本に戻られて男女雇用機会均等法案を作られましたね。

三年間、外交官の身分で国連代表部で働いて、帰ってきたら労働省に戻って婦人少年局長になりました。日本がいよいよ女子差別撤廃条約を批准するかどうかが、私の肩に掛かってしまった。この条約批准のためには、雇用機会均等法まだ名前は決まってなくて「雇用平等法」とか言っていましたけれど、要するに法律を通さなければ条約の中身を果たせない。だから新しい法律を作る必要がある、これが大変だったんです。

私が婦人少年局の婦人労働課長時代に勤労婦人福祉法という法律-その後、全部均等法に吸収されましたけど-がありました。時の婦人少年局長が高橋展子局長という非常にアンビシャスな方でした。何しろ婦人少年局が所管する法律が何もないというのは局として弱体だし、さみしい、何とかして所管の法律を作ろう、ということで、まずは勤労青少年福祉法という法を、年少労働課の課長がアンビシャスな方でこれを通しました。一本できたので次は「婦人」だということで、勤労婦人福祉法という法律を作られたのですね。その時に私、課長としてお手伝いをしました。勤労婦人福祉法は、育児休業について日本で初めて規定した法律です。育児休業は後で独立した法律になりますけれど、育児休業という概念がね、それまでなかったんです。産前産後の休業は、労働基準法ができた時からあったわけです。母親は、子どもを産むときだけは大事にして、だけどそれ以外はコキ使って働かせればいいみたいな考えの人が多くて、ひどい目に女性は遭っていたのです。それを段々改善してきた長い歴史があります。その転換期にあって、まずは勤労婦人福祉法を手がけて、局長になったら男女雇用機会均等法という中身の強いものにするということをやってきたのが、私の37年の国家公務員人生です。法律を作るという大変さというのは福祉法のときからまあまあ頭に入っていたけど、いよいよ均等法となると、それは比べ物にならない中身なんですよね。

職場の男女平等から政治分野の男女平等へ

男女雇用機会均等法は、最初は努力義務が非常に多く強行規定はあまりなかったところから、その後の改正を重ねて現在のような形になりました。結婚、出産をしても働き続ける女性が増えてきたと思いますが、それは経済・社会の分野の問題で、その後、「クオータ制を推進する会」(「Qの会」)を立ち上げ、政治の世界で女性の参画を盛んにしようとされました。

最初は職場における均等ですね。次は政治の場における均等に広げていきたい。まずは働いている女性。それから広く社会全体の女性という風に広げたいと考えたわけです。私はありがたいことに両方に関わりがあったものだから、「二つの均等法の生みの親」だと誉めていただいた。これはちょっと誉め過ぎだと思いますけど。

「Qの会」などの活動の結果、日本版パリテ法といわれる「政治分野における男女共同参画推進に関する法律」が2018年にできたわけですが、政治分野に焦点を当てて男女共同参画推進に関する法律の制定を求められた意図は何でしょうか。

私は労働省が長かったのですけど、59歳で辞めてからずっと、民間のいろいろな団体で働く、給料は貰わないからボランティアベースでやるわけですけど、仕事をしてきました。そうすると職場における均等に関する法律は自分が所管省の中にいたからやれたけど、もう少し広げて政治の分野の均等法のようなものがないといけないのではと考えるようになったのです。

日本の女性の地位というものを健康・教育・経済・政治の4分野に分けて考えてみます。健康はなかなか良いし、日本の女性は世界一の平均寿命でしょ。男性の平均寿命は女性より7年以上短い。大体男性の方が強いと思っているけど、あるいは人類の生命力からいうと半分半分のはずだけれど、寿命は大分違う。7年くらい多くの国で男性より女性の方が長い。はっきり理由はわからないけど。ただ、発展途上国 ディベロッピングカントリー では女の方が短いですよ。なぜかというと、出産の時に死んでしまう。日本でも明治時代くらいまでは出産のときに女性がたくさん死にましたよね。発展途上国は今でも、明治の女性より悲惨な状態で子どもを生むのです。まず衛生状態が滅茶苦茶。泥まみれのところで子どもを産む。子どもだってたまったものではない。それから栄養不良だから乳が出ない。親も子も栄養不良になって死んでしまう。先進国との違いがはっきりしています。女性に限らず全体の寿命も途上国の方が短いでしょ。日本は長い方に属していて、日本の女性は世界一、ときどき二位になるけど。

次に教育。日本の女性はかなりいい方ですよね、とくに最初の基礎教育、小学校は、女性の方がいいくらいで、ほとんど100%。男の子の方は跳ね回って遊びたいから、学校行かない子もいる。そうは悪くないけど、まあまあ女の子よりちょっと悪い。だから基礎教育の点ではちょっと女性の方がいいくらい。読み書きは、日本は世界に誇っていい高水準。字がこんな難しいですけど、ほとんど読めますよね。私だって眼鏡は要るけど、とにかく読めない字はほとんどない。そのあと四年制大学までは女性の方がいいくらいなんだけど、大学院になると、女子は大学院まではいかなくていいやという風潮がまだあって、ちょっと落ちますよね。

経済は。日本の女性はよく働きます。だから職場に出てもいい労働者になってますけど、一番トップまではやらせてもらえない。そして管理職の割合が低い。これは女性のせいとは言えない問題ですよね。

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