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インタビュー 上川陽子法務大臣に聞く

上川陽子法務大臣に聞く

誰ひとり
法の保護から
取り残さない


平成29年11月13日 法務大臣室にて


ご就任おめでとうございます。2014年以来、二度目のインタビューとなりますが、従前のご経験を踏まえ、法務大臣としての意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

100代目という節目の大臣に就任することになりました。時代も国際化の節目を迎えています。様々な課題に結果を出していく、法務省あげて役割を果たしていきたいと思います。法治国家の中心は憲法です。法制度の基盤を堅固にし、国民目線で「誰ひとり法の保護から取り残さない」という目的意識をもって取り組んでいきます。

今次内閣で重点的に取り組みたい課題は何でしょうか?

総理大臣から負託された①利用しやすい司法、②差別・虐待の防止、人権擁護の取り組み、③再犯防止、④領土・領海・領空保全の取り組み、の4つの項目を着実に遂行していきます。

無戸籍者問題については、弁護士会のご協力もいただき、官民挙げて取り組んでまいりましたが、まだ道半ばです。戸籍担当窓口以外も含めた情報集約依頼を改めて周知徹底し、地方における関係機関との連携を強化するなどして、無戸籍者問題の解消に向けて、より一層積極的に取り組んでいきたいと思います。

再犯防止については、2016年に施行された再犯防止推進法に基づき、国・地方公共団体・民間が緊密に連携して取組を進めていく必要があるため、キャラバン活動なども展開していきたいと考えています。また、犯罪被害者施策についても、性犯罪の罰則を大幅に見直す法改正が2017 年6月に成立しましたので、その適切な運用に努めるとともに、引き続き、犯罪被害に遭われた方々の声に真摯に耳を傾け、被害が潜在化しやすい性犯罪を含む、犯罪被害者に対する施策の一層の充実・強化を図っていきます。

利用しやすい司法については、法曹養成の問題が重要ですし、また、国際化のなかで司法外交も重要です。国連のSDGS(持続可能な開発目標)達成の基盤でもあります。国際仲裁についても、外国と同じことをしていてはだめで、例えば知財事件など、我が国ならではの強みを生かした制度を整備していきたいと思います。司法のIT化も、よくデザインすることが大切ですね。

弁護士や弁護士会へメッセージをお願いします。

安全安心の社会づくりを国内だけでなくアジアまで広げて推進していくにあたって、弁護士会の方々にも知見を持ち寄ってご協力いただきたいし、協力させていただきたいと思います。

また、法教育については、小さいころから法的なものの考え方をきちんと身に着けていくため、国や弁護士会などで出前授業を実施していますが、実施校の偏りをなくし全国へ広げるためには、法務省の力だけでは足りません。あまねく国内へ広げていくための知恵をお借りしたいと思います。

於法務大臣室
写真左から、松田康太郎 静岡県支部幹事長、斎藤義房(広報委員長)、 上川陽子法務大臣、村越進 理事長、菰田優 幹事長、 小川晃司(本誌編集長=聞き手)

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