弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

日弁連の国際戦略(3/5)

国際ルール作りへの参加

【斎藤】2の(2)に、国際ルールづくりのメンバーとして積極的に活動するということがあります。三宅さん、その具体例をお話下さい。

【三宅】三宅IBAやローエイシアは日弁連が正式に加盟しておりますので、国際的な弁護士団体の中でも日弁連の意見が尊重される立場にあります。先ほどサイドイベントの話が出ましたが、弁護士秘匿特権の問題も一例です。一昨年のIBA、ウィーンの大会でも、日弁連が朝食会を企画しましたが、英米法系における弁護士の秘匿特権と、大陸法系の秘匿特権の範囲とに少しずれがあり、日本独自の考え方もある中で、秘匿特権の範囲を具体的にどう定めるのか、海外の秘匿特権のレベルを踏まえながら日本でも法制化する。その上で国際的なスタンダードとして世界的に一定のスタンダードづくりをすることに積極的にかかわっていくというような問題がございます。もう一つの例で言いますと、弁護士の情報を政府に伝えなければならないかどうかという議論がありまして、ヨーロッパの方だと弁護士は交流しながらEU内で国の枠を超えて活動している部分があって、その中で弁護士の情報も政府に報告すべきかどうかという議論になるのですね。政府と弁護士の間に緊張関係のある国では、正面から利益が相反する議論になっておりまして、そういう利害状況が異なるところをどのように我々日弁連でルール作りに反映して発言をするか。日弁連の正副会長会などで議論をし、それをふまえて意見を言うと、アジアの中でも日本の日弁連の意見というのは非常に尊重されておりまして、そういう議題が取り上げられたりすることもございます。

国際戦略に対する具体的な基本目標について、日弁連としてまず何をするのか。強制加入団体としてできること。それから個々の弁護士の活動をどこまで支えられるのかを、昨年度一旦整理しました。ミッションステートメントインターナショナルアフェアーズ、国際戦略ということなのですが、そういう基本的は戦略的方針を確認しつつ、国際ルールづくりのメンバーとして積極的に関与できると思います。

【山神】私からは、国連安保理で加盟国に反テロ措置を求める決議が採択されたことを受けた、2015年のローエイシア理事会決議の例をご紹介します。当初の案は「安保理決議を支持し、加盟弁護士会が自国のテロ対策を支持するよう推奨する」というもので、これは市民の自由と人権が侵害されないよう政府の行動を監督するという弁護士会の役割に照らし、受け入れ難いものでした。そこで日弁連は他会と調整を重ね、「国際社会がテロ行為を含む市民への無差別な攻撃を抑止する行動をとることを歓迎しつつも、加盟弁護士会は自国での立法措置において人権・基本的自由・法の支配が十分な考慮を受けるための役割を果たすよう推奨する」といういわば180度転換した修正案を作成し、最終的にはこれが可決されました。

法的ニーズに応える法的サービスを提供する体制の強化のための活動

【斎藤】基本目標3の「法的サービスを提供する体制の強化のための活動」についてお話いただきたいと思うのですが、大谷さん。

【大谷】話が遡るのですが、司法制度改革の時に、政府の審議会の下に弁護士(法曹)の国際化に関する小委員会というのがありました。当時日弁連がそこでヒアリングに呼ばれまして、プレゼンをさせていただきました。当時の意識としては、弁護士の中で、国際業務、特にビジネス分野で活躍できるような人材をもっと強化しなければならないという方向での議論が予定されていたようです。ビジネス分野で国際的に活動できる弁護士の育成強化ももちろん必要なのですが、今までずっと話に出ているような人権とか公益、法の支配、司法アクセスとかそういう所謂公益分野も非常に重要で、その中でも国際機関で働きたいというような希望を持っている方を個人ではなかなか難しいので、政府からも日弁連からも支援が必要ではないかというプレゼンをしたことがあります。近年中小企業の海外展開、それに対して特に大手渉外事務所と違いまして、中小企業が相談に来るような普通に一般事件をやっている弁護士が顧問として相談を受けるなど、契約書に国際的なものが入ってきたときに法的な支援をするためにその弁護士の研修や支援が必要という観点から中小企業海外展開ワーキングができました。しかし、さらにより広く日本国内にある国際的な業務、外国人が依頼者や相手方になるという個人事件、国際機関での勤務・就職や、国際司法支援活動に専門的に取組むことを視野に入れている人たちを支援していく等もっと広い意味で弁護士の国際化、国際業務の拡大の推進・支援が必要だということで、日弁連国際業務推進センターというのが設置されています。私はそこの副センター長で、今まさにお話した外国人が関係する事件に関する国際業務の推進と、国際機関への就職等の支援を担当しているわけです。中小企業の海外展開に携わる弁護士の支援については、中小企業海外展開ワーキンググループが日弁連の中にありましたし、日本の中で外国人が関連する事件を扱う弁護士の支援については、日弁連外部の任意団体ですが、外国人ローヤリングネットワークが2009年5月に発足しまして、現在約1800人の弁護士会員を擁して日々実務的な情報交換や研修をしております。国際機関の就職支援については、日弁連は国際室で何年も前から情報を提供しています。法務省や外務省等、政府との連携や意見交換、国連諸機関の職員の方たちとも意見交換をしながら弁護士の養成支援を行っています。



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