弁政連ニュース

特集〈座談会〉

弁護士会と自治体の連携
~弁政連の役割~(2/6)

【田邊】田邊山梨支部事務局長の田邊護38期です。平成26年に日弁連の副会長を務め行政連携の担当をやり、その後もメンバーとしてかかわっている状況です。山梨支部は平成20年に立ち上がり、正直言って活動自体は今はやや低調です。弁政連というと国会議員との意見交換等が主になりますが、山梨では地方行政連携の分野である程度の活動を行ってきたという実績があります。当初山梨で行政連携を意識したころには弁政連が政治的に力のある政治家を呼んで、弁護士の実情を理解してもらう橋渡しをするようなことを行いました。高齢者・障がい者の委員会の立ち上げの時の委員長をやりまして、福祉の分野には、高齢者や障がい者に対する虐待等様々な問題がありますが、弁護士がアドホックに相談をうけて何かをやることで解決することはほとんどないのではないかと思います。地域包括支援センター等の地域に密着した行政の施設のワーカーたちと情報を共有したりして、福祉の専門家に頼る分は頼り、借金問題など弁護士が処理しなければならない分野は弁護士がやるというように、行政が関与して複合的に一つの紛争を解決する形にしないと本当に解決しないという実態がかなりあると感じました。山梨県の行政関係では個別の法律相談はやっており現場とは付き合いはあったりするのですが、行政全体を仕切るところに弁護士やそれ以外の専門職が連携しあうことがいかに重要かということを理解してもらいたいという意識の元で、弁護士会の会場を借りて当時の山梨県知事を呼んで、高齢者・障がい者、子どもの権利、民暴の委員会から委員長が出て、それぞれの委員長がかなり詳細に今やっていること、あるいは現在の問題意識、それから行政にどういうことを望むのか、あるいは行政に関わらないとだめなのだということを相当強くプレゼンをしてもらって懇談をしたということがありました。その結果、知事は非常に感銘を受けたようで、これは大切なこと大変なことだと、すぐに福祉保健部の主だった幹部職員に号令をかけて、弁護士会との協議を具体的に進めるよう指示を出しました。それ以降、福祉保健に関する主要部局、主要なセクションとは人的につながりを持ち、また定期的に行政を含む福祉関係者との勉強会等を開催するなどの活動を行っています。弁政連が火をつけたというか、トリガーを引いたというか、後はその年その年の執行部が意欲的に取り組んできたので現在まで相当行政とのつながりが深くなってやりやすくなっている環境が維持できていると思います。

【菊地】とても効率的なきっかけトリガーですね。知事を引っ張りだす秘策などがあったのですか。

【田邊】秘策の様なものはなかったのですが、弁政連で何かやらないと、というところから始まり、当時私を含めて高齢者、障がい者の分野は先ほども申し上げたようにどうしても弁護士だけでは中途半端というか本当の意味で紛争解決に至っていないという思いがあって、ストレートにプレゼンしてみようと。それは秘策というより弁政連ですからそれなりの応援団のつながりの中でプッシュしてもらって。その辺の技は個別の人的関係だと思いますけどそういう部分は重要なんだなと思っております。

【佐藤】新潟の56期佐藤克哉と申します。私は地元国立大学の専任教員をしておりますので、弁政連の会員としては登録しておりません。とはいえ弁護士会の活動の中で行政ほか様々な機関の連携に関わっておりまして、その中で弁政連が大切なパイプになったということを経験しているので、そのような立場でお話をさせていただきます。まず新潟県弁護士会の行政連携活動ですが、きっかけは自殺防止活動です。新潟県は大変自殺率が高いところでして、その自殺に至る経緯というのを考えてみると最初は家庭内の問題があって、それが経済的な問題にまで発展して、「うつ」になって、どうしようもなくなって死に至ると。これが実態ではないか。そうした時に個々の問題を解決する窓口は県内各地に存在する。例えば弁護士会であったり、精神科の医療機関。しかし、これらの相談窓口は、言ってみれば佐藤海のようなところの中に島のような形で点在していて、悩みを抱えた市民の方々がいったいどの島に行けば自分の問題を解決してもらえるのか、自分で探し当てて泳いで行かなければならない。そして、泳いでたどり着いたところが自分にマッチしていればよいが、マッチしていなければまた自分で次の窓口まで泳いで行かなければならない。そうしているうちに溺れてしまうのが実態ではないかという風に考えました。じゃあ島同士がつながり合えばいいのではと。困っている人がどこかの相談窓口にたどり着けばそこの機関の方が問題を聞き取って自分のところで解決出来るものは解決するし、自分のところで解決できないものは次のところを紹介するし、紹介だけではなく連携して物事にあたるようなネットワークができれば市民の方が救われるのではないかと考えて、弁護士会が呼びかけて皆さんで繋がり合いませんかという活動を始めました。まずはお互いの島ができることを知り合う。各機関が持っているスキルを情報共有し、さらにお互いの人となりを知る。例えば弁護士は案外怖くないことを知ってもらう。これを実現するべきではないかということで呼びかけまして、様々な企画を開催しました。例えば超連続勉強会と称して、各機関が持つスキルを一気に紹介し合う勉強会ですとか、あと総合相談会という形で様々な専門職の方、弁護士・社労士・社会福祉士、保健師・精神保健福祉士、それからハローワークの窓口の方、生活保護窓口の方、あらゆる方が一堂に会して、ワンストップで相談を受けるというような会もやりました。また、「うきうき人権フェスタ」という柔らかいイベントも開催しました。ここには県の副知事、地元選出の国会議員の先生にもおいでいただきました。

その中で気が付いたことは、やっぱり待っているだけではだめだと。こちらから出ていって色んなところと繋がりを持たないと弁護士会の活動は中々広がらないのだなと。市民の相談を受けている様々な窓口の方と連携して、法律問題が起きた時にスムーズに弁護士、弁護士会につなげてもらうような関係を構築する必要があると気が付きました。それで平成27年の執行部から百カ所巡りと称しまして、会長以下役員が出かけていって弁護士会の活動を紹介するようなことをいたしました。新潟県は大変広く、東から西まで各地を回りまして色々なところに挨拶に行きました。すると、非常に歓迎していただける。弁護士がこんなところまで来るとは思わなかったとか、弁護士会がこんな活動しているとは知らなかったとか、弁護士が身近に感じられるようになったとか、そういうお話をいただき大変盛り上がりました。それからトップ会談。新潟県警察本部の本部長に、百カ所巡りでご挨拶に行った際に特殊詐欺の話になりまして、弁護士会としても被害回復をして犯罪収益を吐き出させないとこの犯罪は無くならないので警察と連携させていただきたいと話すと、本部長がすぐに関係部長を呼んで今年の三月に県警と特殊詐欺に関する連携協定を締結する実績に繋がりました。とにかく動きがとても早いですね。連携活動から百カ所巡りをしてきているわけですが、そのような活動の中で弁政連に大変助けられているというのがございます。何よりも弁護士会の役員が国会議員の先生に様々な要請をするときには当会ではほぼ弁政連から仲介をしていただいています。弁政連が普段から国会議員の先生と良好な関係を築かれていますので、弁護士会の役員は国会議員にアプローチがとってもしやすいということで助かっております。それと弁政連の主催で毎年4月に弁護士会新執行部の披露会を開催しております。披露会が行政、代議士の先生方、それから各種団体と弁護士会の距離をぎゅっと縮める大切な役割を果たしています。

かなりの国会議員の先生方ご本人、それに自治体の首長にもおいでいただいています。その披露会の中でも柔らかい感じで各テーブルに分かれて弁護士会へのリクエストを書いていただいて、それをステージに貼って新年度の役員が見て回答していくということもやっておりまして、大変盛り上がりました。そんなことで弁政連の活動があって、弁護士会の活動も非常にやりやすくなっております。


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