弁政連ニュース

〈座談会〉

弁護士から地方議会へ
~地方自治の担い手として~(3/4)


【小川】クライアントとの折衝など、弁護士としてやってきたことが地方議員の活動の上で活きているということですね。地方議会議員は兼業が可能とされていますが、実態としてはどうでしょうか。

【三雲】人それぞれじゃないかと思います。私の場合は、自分の法律事務所の立ち上げと地方議員への立候補がほぼ同時だったので、どちらも基盤が出来ていない状況でした。ただ、議員の仕事が弁護士業のプラスになるのかマイナスになるのかということで考えたら、経済的には立候補以前の仕事の方がよかったと言えます。

【湯沢】現実に兼業ができると思われているのだとしたら、それは勘違いです。議員の仕事はそんなに甘いものではありません。相談者の方の事情などを勘案して、これは私しかできないと判断したら依頼として受けることはありますが、明確な休日もない、いつ臨時会が入るかわからないという状況の中で、収入のために兼業をすることはあり得ません。

【奥谷】私も地元の有権者の方に相談事を頼まれるとやる程度で、地元の方からお金はいただきづらく無料での書類作成などということもあります。兼業というのは難しいです。

【薬丸】私も基本的に弁薬丸護士としての仕事はやっていないです。法律相談はたくさん頂きますが、事件として受任するということは基本的にしていません。

また、相談に来られる方にとっては、どこまでが相談で、どこからが弁護士として受任した後でなければできない業務なのか不明確だと思いますので、そのあたりの説明はしっかりしています。そこをちゃんと説明せずに、相手方に自分の名前を出されてしまうと、誤解を招く恐れがありますから。

【小川】自分では引き受けられないような相談が入ってきた時は、どのように対処するのですか。

【三雲】支援者同士とか地域の顔見知りが関わる相談の場合は他の弁護士を紹介します。しかし、他地域の相手方からのアパートの敷金の回収など、普通の弁護士に依頼すると費用倒れになりそうな案件は、自分で引き受けます。

【湯沢】私も知人に紹介することがありますが、費用倒れになるような案件は悩ましいです。

【奥谷】私も断りづらいケースがあります。線引をしてちゃんと説明することが大切だと思います。

【小川】兼業として考える時にはデメリットもあるということを認識しておくということですね。

続いて、現状の課題ですが、ご自身の課題と関与している議会と自治体としての課題についてお話を伺いたいと思います。また、将来のビジョンに関してもお聞きしたいと思います。

【三雲】都心部の地域コミュニティは、少子高齢化のため機能が縮小しつつあります。その中でどのように新しいコミュニティを作っていくかということを、いろいろ話し合って考えています。

【湯沢】面会交流の場所の提供など、離婚後の親子関係に関して地方自治体の支援があれば良いと感じています。養育費の未払いに対する関与もそうですね。子どもたちの健全な成長にとって重要で、お金には代えられない問題こそ自治体が担っていくべきだと考えています。

【薬丸】個人的な課題として、弁護士なので法律とか条例に関しては強かったとしても、財政等に関してはしっかりと勉強していかなければいけないと思っています。財政的な根拠を持って行政の人間と話をすると、より政策を実施したり転換してもらうのに強味になると思います。

自治体の課題としては、行政課題の多くは県と市がしっかりと連携していかなければいけないのですが、うまく進んでいる部分と、そう進んでいない部分があると感じています。

今後は児童虐待防止のため、怒鳴らない子育てという親への教育プログラムの実施に力を入れて取り組んでいきたいと考えています。

【奥谷】いろいろな団体があっていろんな問題を抱えていて地元のみならず兵庫県全体の声をもっと聞くようにすることを考えています。先日筋ジストロフィーの患者さんの治療法に関して深く考えさせられることもありました。待っているだけではなく、自分からも声をあげて働きかけてどんどん聞いていきたいと思います。

【小川】今後のご自身のビジョン、活動に関して三雲さんから順にお願いします。

【三雲】議員としての成長と、行政をもっと理解していくということ。予算的に裏づけのない話はあまり意味がない。新宿区は財政的にはよい方ですが、問題点はコミュニティが崩壊してゆく可能性があるということです。将来も本当に人が住んでいる街といえるかどうか。住人がコミュニティとしての街に出てくるような仕組みを作りたいと思っています。

【湯沢】多くの人が、まだまだ弁護士への相談はハードルが高いと感じています。その時に、市議会議員のあの人だったら気軽に相談ができると思ってもらえる存在を目指しています。条例提案などにも役割を発揮していきたいですが、既成の枠にとらわれすぎると、かえって苦しむことになりそうで、他の議員の方々の自由な発想とバランスをとることも課題です。

【薬丸】より信頼される議員になりたいと考えています。支援者や地元地域の方々、行政の方々ともより信頼関係を築いていきたいと思います。

【奥谷】せっかく法律家として議員にさせていただいたので、兵庫のための条例を何か作りたいと考えます。全国に先がけて自転車の賠償保険制度という条例がありまして、それに見合ったものを作っていきたいと思います。

 


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