弁政連ニュース

特集〈座談会〉

法制審・刑事司法制度
特別部会の結論を受けて

(3/6)

【菊地】見直し規定に「施行後一定期間後に録音録画の実施状況について検討を加え必要があると認めるときは所要の措置を講ずる」と入っています。一定期間後の見直しはどういう方向に議論が進むのか、日弁連も含めて何をしたらいいのか。小野さん、小坂井さん。

【小野】有識者委員から、将来的に全事件の可視化の方向性に沿うものであり、それに向けた道筋が一定以上明確になることで、段階的実施のスタートとして可視化を実施すること、さらに一定期間経過後に運用状況の検証を行い、それに基づく見直しの手続きを具体的に盛り込むという意見が明確に示されたうえで、検察の録音が恣意的な録音録画ではない基本構想に基づくものという方向が確認されました。将来的な全事件可視化の方向での見直しだということが特別部会全体で確認されたことに非常に大きな意義がある。

【小坂井】法務省側は総会で見直しについてニュートラルですと答えたようです。ただ、小野さんがおっしゃったように、付帯事項にはっきりと書かれているわけですね。有識者五名の意見を彼らは取り入れざるをえず、かつ最後の会議の時に村木さんが確認を求め、仰せの通りですと回答しました。基本構想と答申を踏まえて客観的なデータに基づいて今後の運用によって見直すことになったのです。今後の法案化についての議論はありますが、そのベクトル自体は明確だと思います。

【小野】ただこの点は、国会の附帯決議という方法もありますので法案の中に盛り込まれるのはなかなか難しいと思っています。自民党がどう思うかという問題なのですけど、付帯事項は警察も検察も入った特別部会でこういう議論がなされた結果が盛り込まれていることなので何らかの形で具体的な文言にする必要があります。

【菊地】次に通信傍受に関して議論いただきたいと思います。何故この通信傍受が特別部会で入ってきたのか、どうなのでしょうか。

【小坂井】通信傍受は、警察は捜査の手法として何が何でも拡大したかった。通信傍受の拡大が捜査の高度化として意味があるのかという議論はあるのですが、警察が採りたいテーマとしては一貫していた。可視化とのバーター論も盛んに議論された時期があります。日本は盗聴法に対し大反対があって、現行法は罪種をしぼり結果的に実施数は年間十数件レベルで、非常に大雑把に不正確な数字でいえば、英米と二桁違うし、ドイツ・フランスとは三桁違って、イタリアとは四桁ちがう。非常に議論の難しい所があります。

【菊地】当初は会話傍受も入っていたのですよね。
特別部会では弁護士の委員・幹事以外はあまり強い抵抗をしたという印象を受けなかったのですがその辺り、周防さんどう感じられましたか。

【周防】有識者では、反対ということにはならなかった。僕は本能的に反対なのですけど、論理的に言えなかった。勉強不足です。ただ、日弁連の反対意見を聞いていてもその言葉が固定電話の盗聴に対する反対を言っているような古さがあった。もう時代が変わっていて、捜査側は振り込め詐欺や児童ポルノとか、通信といっても携帯電話やインターネット時代の通信について言ってきているのに、反対する側は相変わらず憲法を拠り所として同じような反対の言葉を使い続けている。憲法に依拠するのは当然としても、もう少し時代に即した言葉で反対しないと、多分国民の支持も得られないと思います。

【後藤】通信傍受を積極後藤的に広げたいとは思いません。けれども、国際的にみると日本法が厳しいのは確かです。かつ、現状では手間がかかり、通信事業者に負担をかけるやり方になっています。

そのようにやりにくくなっているからこそ、やたらに使われないという効果はあったと思います。

けれども、理論的にそうでなければならないという説明は難しい。私としては、通信傍受法は元々組織犯罪対策として作られたので、組織性の要件を何とかはっきりできないかと考えていました。要綱の作りでは、そこがまだ広すぎるとは思いますが。会話傍受については、今回は導入しないことになりましたが、将来的また出てくる可能性は高いと思います。これと並んで被告人の証人適格も今回は見送ったけれど、どこかで議論が再燃する可能性はあります。


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