弁政連ニュース

特集〈座談会〉

法制審・刑事司法制度
特別部会の結論を受けて

(1/6)

司会 菊地 裕太郎 本部副理事長

周防 正行 氏

周防 正行
映画監督
法制審議会新時代の刑事司法制度
特別部会委員

後藤 昭 氏

後藤 昭
青山学院大学教授
法制審議会新時代の刑事司法制度
特別部会委員

小野 正典 氏

小野 正典
弁護士
法制審議会新時代の刑事司法制度
特別部会委員

小坂井 久 氏

小坂井 久
弁護士
法制審議会新時代の刑事司法制度
特別部会委員

菊地 裕太郎【菊地】本日司会進行を務めさせていただきます菊地裕太郎でございます。昨年度日弁連の担当副会長、また本日は弁政連の副理事長という立場で話をおうかがいします。まず特別部会委員をされた小野さんより、法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の生い立ちと歴史、そして結末をざっと話していただきます。

【小野】平成22年9月に厚労省の村木さんが無罪となり、虚偽の供述調書や検察官による証拠の改ざんが明らかとなって、世論からも可視化の実現が強く求められたことから、検察のあり方検討会議が設置され、平成23年3月31日に可視化の具体的なあり方を十分に検討するべしと提言されました。これを受けて平成23年5月18日の法務大臣諮問で、特別部会が設置され、刑事法の専門家だけではなく各界の有識者も相当数加わりました。平成25年1月にまとめられた時代に即した新たな司法制度の基本構想にしたがって二つの作業分科会が約10回ずつ開催され、平成26年2月16日にたたき台が、4月30日には事務当局試案が提示され、そのうえで平成26年7月9日に特別部会で取りまとめられた答申案が9月18日の法制審議会で承認されて法務大臣に答申されました。この結果を受けて平成27年の通常国会に法案が提出される予定で、法案の策定作業に取り掛かっているところだと思います。

【菊地】周防さん、有識者として法制審の委員に異例にも就任されたわけですが。

【周防】お話は突然で2011年4月、当時の海渡事務総長からお話を伺いました。一般有識者ということで日弁連から委員に推薦したいということでした。「それでもボクはやってない」という映画を作ったことが大きかったと思いますけど、法制審議会がどんなものかも知らなかったし、何をどのようなレベルで話し合う会議なのか皆目見当がつかなかった。
逡巡していたら海渡さんが映画監督として取材する感覚で参加されたらと仰られて、なるほどと、政府のこういった会議に参加する機会はそうないだろうし、映画を作るにあたって現行の刑事司法制度に疑問を持つことは多かったので、そこは素人なりに自分が考えていることをこの会議の中で話していこうと。

【菊地】小坂井さん、この特別部会が組織され、小坂井さんも幹事で入ることになった感慨といいますか感想をお願いします。

【小坂井】ざくっとした感想を申しますと、不安と期待が半ばする感じでした。ようやく可視化が法制審に入ってきたという思いは強かったのですが、不安はやっぱり委員構成で、26人の委員、幹事が14人、メンバーを見ていくとなかなか難しい。全過程の録画録音を言いきってくれる人がどこまでいるか、期待もありましたが、不安もありましたね。

【菊地】後藤さんは学者枠ということですが、多くの学者委員とは一線を画した印象を持ちました。参加されたときの意気込みや展望は。

【後藤】意識的に一線を画したわけではありません。私たちの任務は供述調書に過度に依存した刑事司法から脱却する案を出すことでした。その重要な柱として取り調べの可視化はすでに諮問に入っていました。私の言葉で表現すると刑事司法の透明度を上げるのが新時代に求められていることでした。私はこの際一気に透明度を高め、録音・録画の一般的な制度化に止まらず、弁護人の取り調べの立会いを認める、あるいは伝聞例外を見直して制限する、さらには取り調べという法律用語自体を見直すことまで議論したいと考えていました。同時に、検察の在り方検討会議の議論に参加した経験から、再び大きな意見の対立が起きることは予想したので、私の期待通りになると楽観してはいませんでした。


▲このページのトップへ