弁政連ニュース

特集〈座談会〉

地方政治への
弁護士関与の可能性
-自治体の議会及び行政に司法の視点を-

(6/6)

【斎藤】いよいよ最後のテーマに入ってきましたが、地方自治体のこれからの展望と弁護士が地方自治体に参加することの必要性、有用性について思うところをお話し下さい。

【常谷】昨今、地方自治の独立が注目されていますし、私も独立はどんどんやるべきだと考えています。地方の独自性を出していくには条例を制定することが一番の仕事になってくると思いますが、そこに弁護士がかかわることで進めることができるなら幸いですし、進んでいくべき方向だと思っています。議会と市長部局がお互い独立した状態でよりよい市政のために条例を作成することをどんどん検討していただきたいと思っています。そのためには市長部局、地方議会事務局双方の立場から弁護士が関わっていけたらと思います。

【川合】これからやっぱりコンプライアンスの面も含めて法律家が必要な部署はどんどん広がっていくわけだから、弁護士資格がある人が行政、議会に関わってくれるのはとっても必要なことだと思っています。また若手に対する期待とかそういう面まで言ってしまうと、議員さんになってくれる人が増えると良いなと思います。現状では国会議員レベルだと弁護士が結構いらっしゃるのですが、市町村議会議員レベルだと弁護士で議員って居ないでしょ。本当は議員さんは他の仕事やりながらでもできるのだからそういう自分の本来の仕事である弁護士をやりながら議会に議員として関わる。そういう方面にどんどん進出して欲しいという希望は持っています。

【斎藤】川合さん、地方分権というキーワードがありますが、地方自治体が色々な役割を果たしていく兆しを市長として実感されますか。

【川合】とりあえず色々な権限が自治体の方に来ているのは間違いない。子ども子育て支援関連の法律とか、地方分権一括法など、今まで国がきちんと基準を決めていたものが一応基準は示すけど後は自治体が自由に決めなさいよ、責任を持ちなさいよと言う法律がいっぱいあるのですよ。それに応じてここ二年でずいぶん条例を作りましたが、権限は来たけど事務が増えて人を増やそうと思ってもそれに見合った金が来なければどうすればいいのという悩みはどの自治体も持っていると思います。ですから中核市市長会とか全国市長会とか、権限に見合った地方分権に見合った財源を自治体に与えろとずっと言っているわけです。財源もそうですけど、一定の規模以下の小さい自治体では自分で条例を作れる人が少ない、居ない。そういう小さい市こそ弁護士を雇ってそういう仕事をやって貰うことは、弁護士会から見たら進めて行くべき分野だと思いますね。

【斎藤】地方分権一括法により制定した具体的な条例の例としては、どのようなものがありますか。

【川合】養護老人ホーム、保護施設、福祉施設、障害者支援施設等の設備や運営に関する基準を定める条例や道路等の構造の基準を定める条例、医療法などの施行条例など様々です。地方分権一括法に基づいて2 年前からどんどん条例を作らざるを得ない状況なんですよね。

川越市は今人口35万弱ですけど、一般行政職員が1,800人くらいだと思うのですけど、それでも今はアップアップな状況なんですよね。ましてや小さい人口10万人ぐらいの市とかそういう小さい地方都市はとっても大変な思いをしていると思いますよ。

【常谷】しかも今まで教育もされていないですし、その上司もそういう教育をされていないから誰もできない。

ある程度自治体で好きにやってもいいよと言われてもどう好きにやっていいか分からないので国のやってきたことをスライドさせてやるのですけど、実際にスライドさせようとすると、既存の他の条例と上手く合わなくなって凄く苦労するということもありますね。

【加藤】地方議会で色々なスキャンダルがあって、お騒がせして本当に申し訳ないと思っていますが、不祥事が起きた議会だけではなくて議会や議員の役割や使命についてもっと考え直す必要が出てきていると感じます。議会基本条例を作っていないところとか市議会議員政治倫理条例も定めていないところもまだあるようです。会議規則とか申し合わせとか、先例とか慣例とかを総点検して見直す必要があると思っています。きちんとチェックできる方が自治体には必要であって、民間より行政が、行政より議会が、市民感覚とかい離していると、民間、行政、議会を経験して感じます。例えば条例を作るときも、もっと市民の方と一緒に実情にあったものをわかりやすく作れるようにしていけるように、弁護士の皆さんのアドバイスや知見を頂ければと思っていますので今後ともよろしくお願いいたします。

【斎藤】貴重なお話をありがとうございました。「公正と透明性を柱とする司法の視点を、自治体の議会と行政に」という目的で企画した今回の座談会を一つの素材として、また弁護士会の中でも、さらに国会の中でも議論していただければと思います。

於霞が関弁護士会館

(平成26年8月5日 於霞が関弁護士会館)


▲このページのトップへ