弁政連ニュース

特集〈座談会〉

地方政治への
弁護士関与の可能性
-自治体の議会及び行政に司法の視点を-

(5/6)

【斎藤】次の質問ですけど、実際どの部署に弁護士が必要だと思われますか。加藤さんどうですか。

【加藤】条例の最終的チェックは総務部だと思いますが、最後の議決は議会側です。よって議会事務局に必要だなと思います。任期付弁護士も訴訟の代理人になったのは一件だけらしいです。できれば職員の方の法律の相談とか訴訟の案件とかのチェックに時間を掛けたいとおっしゃっていました。一人ではなく二人いたほうが判断も相談できるので、よりよいとおっしゃっていました。

【常谷】情報公開の部署ですけど、ひっきりなしにこれは出したらいいのか出さなくてもいいのかと質問が来ます。私も相談に入ったり法廷に入ったりするので、情報公開の部署に常駐していた方がいいと思いますが、そうなると各部署にいた方がいいということになってバランスが難しいかも知れません。自治体の構成という大きな目から考えると、議会と市長部局と大きく分かれた方がいい。それから、地方自治体ではコンプライアンスというのが取り入れられていないと聞きますので、私もそういわれてみると関わってなかったと思いまして、ここを担当する弁護士を入れた方がいいと思いました。

また役所の職員が指定代理人となって、建物明渡訴訟や、支払督促といった裁判所を使った手続をすることがあります。その際、裁判所の書記官から書類について何か指摘を受けても、法的な意味がわからないということで相談が来ることがあり、そういった裁判所とのやりとりが多い部署には弁護士がいた方がいいと思いました。それから、先ほど申し上げているように例規の作成のところで立法の仕方をきちんと皆さんにわかっていただくことが必要だなと思います。

【川合】そうですね、お二方が言われた事とほぼ共通になってしまいますが、一つは議会事務局に弁護士が一人いた方が絶対いいなという思いがあるのですね。これからの時代の流れで議員立法が増えることから考えても議員さんに立法関係のアドバイスができる人がいた方がいいのが一つ。もう一つはきちんと規則にはこう書いているからこういう風にしないとダメですよとアドバイスを与える立場の人がいてもいいだろう。総務がいろんな部署が作る条例をチェックする場所なんですけど、そこには弁護士がいた方がいいと思います。それとコンプライアンスの関係なんですよね。川越市では高齢者の方に敬老の日にお祝金を差し上げているのですが、民生委員の方にお金をポンと預けて配ってもらって、お金を預けるときも配れなかったお金を返してもらうときも書類のやり取りをしていなかったことが最近分かりました。昨年の返還金の一部が紛失する事故があり、不適切な方法で現金授受をずっとやってきたのがわかった、ということがありました。五年くらい前に私が市長に就任した時に第三セクターで現金を横領したと思われる事件があって、その時に現金を扱う部署は今までのやり方でいいのかチェックしなさいと言ったはずなのにそれもスルーしていた。これは単に注意を与えるだけではなくコンプライアンスの体制を作らなければだめだろう、ということで任期付弁護士に来てもらおうかと今考えているのです。そういう部署には弁護士がいてもらいたいと考えた次第です。

【斎藤】地方自治体から求められる弁護士の資質とか手腕というかその辺に話を移しますが、どうでしょうか。

【加藤】そうですね、できれば社会経験豊富な弁護士が望ましいですね。市政は市民生活そのものなので、社会経験が少ないと判断がむずかしいことも多くなりますから、いろいろなケースがありますからシミュレーションができる人。危機管理ができるというか。例えば訴訟が起こった時に紙面だけの情報で動くわけではなくて現場の声をきちんと聴いてもらえる方。20年損害保険会社にいた時にいろんな訴訟やトラブルで最初の初動が間違っていると心が意固地になってしまってこじれた例をたくさんみてきました。最初の条例を作る段階でそれが予防できたら、そういう役割を弁護士に果たしてもらいたいと考えています。

【川合】法律家としての知識や人生経験が豊富で川合氏あればあるに越したことはない。それはある意味当然だと思います。プラス今加藤議員がおっしゃったことを繰り返すのだけど市民に接する担当になる人はやっぱりやさしさというか相手の身になってきちんと対応する姿勢が重要で、それができない人は市民に接する場面には出られないと思っていただけないと困ると思うのです。何でそんな弁護士を置くんだというような苦情が来ることがままあるのですね。態度が横柄、親身になって話を聞いてくれない。そういう人は相談者から反発しか引き出せない。行政に関わる弁護士でそういう市民と接する部署に関わる人は、やっぱり親切で優しくて人の話をよく聞いてくれる人。それが是非必要だと思います。

【常谷】私が思うのは先ほどお話ししたように自治体に入ると組織の一員になるわけです。なので、きちんと組織にフィットできる人であることが必要だと思います。ただし結局組織であるがゆえに生じている弊害があると思いますので、そこを毅然とした態度で誤りを指摘できる人であることが一方で必要です。私は最初、「先生」と呼ばれていたので、先生は止めてください、役職名などで呼んでくださいとお願いしました。他の職員の方と対等な立場であるという意識をもってもらいたいと思っています。一方で、上司の立場の人にも、堂々と意見するようにしています。

【加藤】議会で答弁する部長が「識見」といったのですね。「見識」と同じ意味ですけど「識見」の方を使ったんです。議会だよりに「見識」の方が一般的だからそれにしたいねと私が言ったら、答弁を変えるわけにはいきませんから「識見」にしましょうということになったのですが、日常使われる言葉をもっと使ってほしいなと感じます。一般の子どもでも分かるように意味を変えないで説明できるような方が弁護士としていらっしゃると市民の方ももっと法律を理解してもらえるのではないかと思いますね。


▲このページのトップへ