弁政連ニュース

特集〈座談会〉

女性の活躍で社会が変わる
~政界、経済界、弁護士会における
 男女共同参画の取組と課題~(4/5)


【斎藤】 国政に参画するに当たり、弁護士であったことはプラスでしたか。

【千葉】 私には大いにプラスでした。ハッタリはきかないし大したキャリアがあったわけではないですが、弁護士ということで、社会的な信頼を得ることができた。また、リーガルマインドというか、社会的な正義やルール、そういったものを踏まえながら議論ができる。

そういう素養を身に着けていたのも、チャレンジするのに大きな力になったと思います。

【市毛】 弁護士会の現状と課題はどうでしょう。

【石田】 現在、全国で、女性弁護士は6,000人を超えています。若手の人たちは25%ぐらいが女性です。ただ、最近は伸び率が頭打ちの感もありますので、弁護士会が2020年までに女性の割合を30%とするいう目標を達成するのは難しいと思っています。

また、弁護士会の意思決定機関である役員については、小規模会、中規模会では女性の会長が増えていますし、副会長の一人は女性であるという弁護士会も多くなりました。また、日弁連理事は今年は女性が8人と最多です。日弁連の副会長の三人は女性ですが、来年はどうでしょうか、不安定な状況です。複数の女性役員がいるというのがまだまだ当たり前ではない。

仕事の内容という点では、私の若い頃は、山地の境界争いだとか、ヤクザ相手の交渉だとか、企業法務対応だとか、女性にはできないよと普通に言われていましたが、今ではそれらの分野で活躍している女性がたくさんいるので、共同参画は進んでいると思います。その一方で、今なお女性弁護士の就職が厳しいという現状があります。弁護士の世界はまだまだ男性社会なので、雇用主である男性弁護士には、女性弁護士は出産育児という面で労働力として使い勝手が悪いという意識が根強く、同じ条件ならば先に男性を採るという状況が事実としてあります。男女共にワークライフバランスを考えて、働き方の常識を変えていかないと、弁護士の世界から優秀な女性が逃げてしまうという危機感を持ってほしいものです。ところで、海外では女性の会長も珍しくないと聞きます。日弁連にはまだ女性の会長はいませんが、いずれはそのときは来るだろうと思います。弁護士会の意思決定機関に女性の参入が少ないのは、会務に携わる弁護士の中で女性はもともと数が少ない上に、会務を継続していく環境、体力、家庭のサポートという条件に恵まれて役員適齢期に至る女性が少なかったのだと思います。女性だけが家庭責任の多くを担っている現状、これが大きな問題です。弁護士業務に加え家事育児もこなして、会務まで手が回らないのは当たり前です。これを解消するには、家庭責任をパートナーと分担しなければならない。そのためには、男性も労働時間を改善する必要がある。要するに、男女共にワークライフバランスを保つことが、女性役員の増加のために大事なことだと思います。なかなか難しいですが、弁護士の働き方、これを男女ともに見直さないといけないということを男性にも女性にも気付いてもらいたいです。

【市毛】 男女の働き方の見直し、意識改革はどうやって進めていったらいいのでしょう。

【岩田】 機会均等を保障すれば女性が男性と同様に活躍できるのかというと、均等法が施行されて28年の今日の状況がそうでないことを証明しているわけです。それで何かプラスしてやらなければならない。厚生労働省はこれをポジティブ・アクションと言っています。

ノルウェーのように女性の活躍が遅れていた国がドラスティックに変わったのはクオータ制度によるところが大きい。日本にもクオータ制度を導入したらどうかという意見もあ岩田氏ります。ヨーロッパでは一般的になりつつありますしね。他方、ヨーロッパの中にあってもイギリス、それにオーストラリアやニュージーランドなど、情報開示を通じて間接的に女性の登用を実現しようとしている国もあります。日本でいうと有価証券報告書に当たるようなもので、役員・管理職の女性比率を開示させ、目標があれば目標も開示させるということをやっています。クオータ制度は大きな改革を起こしますけど、副作用もある。副作用とは、女性の育成が間に合わない場合に起こる女性優遇です。女性自身これを嫌がりますし、男性は逆差別だと反対する。経営者も適材適所の人事ができないので困る。このような女性優遇を起こすのは良くないし、かといって何もしないで待つわけにはいかない。そこで、情報開示手法によっているんでしょう。

日本の動きというのは、後者だと思います。早く女性を育成するためにやって欲しいなと思って、私が主張しているのが、ゴール&タイムテーブル方式です。数値目標を各社ごとに決めて、これにチャレンジしていく。どういう目標を掲げるのかについては政府が一律で決めるのではなく各社で決めていい。自分の身の丈にあった目標でいい。そして、どういう目標を決めたか、また、毎年毎年の進捗情報を情報開示してくださいというものです。実は、今政府でもそういう流れになっております。クオータ制度のように、結果にコミットするのではなく、女性をいつまでにはこういう姿にするという育成目標を掲げるのです。このような取組は、弁護士会のご参考にもなるかと思います。


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