弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

利用者目線で改革を
「民事司法を利用しやすくする懇談会」の最終報告を受けて (3/6)


【山根】 消費者部会の報告をします。新聞やテレビなどの報道からもわかりますように、消費者被害・消費者トラブルというのは大変多く起こっています。消費者被害は、小額で多数の被害というものと、件数は少ないけれど高額な被害といったいろいろな実態が同居しているということ。全国消費生活情報ネットワーク・システムに登録された相談件数などを見ましても、年間90万件という大変高い数字で推移してきています。相談者の平均年齢も高齢化しており、60歳代以上がとても多くて、また50 歳代以上の高い年齢層では被害額も高いといった実態も浮かび上がっています。一方で、被害を受けても誰にも相談しない人山根氏が約3割います。弁護士の方や消費生活センターに相談したという人はごくわずかということです。なぜ相談をしなかったかということですが、4割近くの人が「相談しても仕方ないと思った」とのこと。また、16%の人は「相談する適切な相手が見つからなかった」と答え、「どこに相談すればいいかわからなかった」、「恥ずかしいので誰にも言えなかった」などの回答が並んでいます。

背景としてはいろいろ挙がりましたが、やはり民事司法というものが利用しやすく頼りがいのあるものだと認知されていないという問題も根底にあるだろう、そのためにどう改善すべきか。そして消費者が民事司法にアクセスできない要因をいくつかに外形付けて整理をして、その一つ一つの要因を除くにはどういう方法があるのかという議論をしました。

アクセスできない理由としては、まず消費者に必要な情報が届いておらず、そもそも自分が被害に遭ったという自覚を持たないことが少なくないのです。また、多くの消費者は、被害に遭ったと思っても家族にはなかなか言えないし、特に高齢者や障がい者などは能動的な行動を取ることができません。次に、消費生活センターや弁護士が消費者にとって身近になっていないこと、また、消費者団体の事業も一部の団体が限られた態勢で行っており限界があるということ、消費者取引において、事業者と消費者の情報の格差、交渉力の格差があるため、訴訟を提起しても勝てる見込みを持つことができない事案も多いということ、それから消費者にとって訴訟の費用や弁護士費用の負担が重いということ、詐欺的な事業者に対しては、勝訴しても回収できる見込みが乏しいこと、こういった課題が要因として挙がりました。

対策としては、まず消費者にいかに必要な情報を行き渡らせるか、そしてそのために法教育の充実も求められます。消費者自らが被害に遭ったのか、それとも自分に責任があるのかなどを判断するには、やはり消費者自身が認識を持っている必要があります。学校をはじめ、市民・社会人においても様々な場で法的なものの考え方を学ぶ機会を推進することが必要だということが挙げられました。

また、製品事故などが起きた場合に、そういった情報が的確に消費者に伝わるための方策の充実が必要であり、リコール情報が十分に収集・周知されるような指針や立法なども検討される必要があるのではないかと話し合いました。

消費者団体、消費生活センターや弁護士がいかに消費者に身近な存在になるかということでは、それぞれ努力が必要になりますし、連携をして活動していかなければなりませんが、消費者団体においては、相談業務等に対する財政支援も求めていきたいという意見も出ておりました。

さらに、消費者取引における格差を改善する。事業者と消費者の格差があることを踏まえて、今の法律で改善できることがないか洗い出して、様々な方策をとる方向へ導いていきたいということも出ました。訴訟費用及び弁護士費用の負担を軽くするということでは、法テラスの民事法律扶助制度自治体の支援制度国や消費者庁などの支援制度がありますが、より利用しやすく被害者が救済されるための制度にする必要があるのではないか。詐欺的被害においても、財産が隠匿され回復できないという問題がありますので、その際に被害回復ができるための法改正なども今後進めたいと思っています。

そして、消費者団体が長らく早期成立を求めて運動を続けておりました"集団的消費者被害回復に係る訴訟制度""消費者裁判手続特例法"が成立しましたので、今後期待どおりに民事司法のアクセスの改善が図られて、きちんと被害が回復されるように制度の運用なども注視してさらに検討していく。ADRについても意見が出まして、今ADRという言葉自体一般市民にはまだまだ浸透していないので、PR活動が必要になりますし、ADR自体も利用しやすく消費者のニーズに答える形で発展させる必要があると思います。


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