弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

若手企業内弁護士大いに語る
(4/5)

個人事件や会務活動は

【鈴木幹事長】弁護士会の会務とかあるいは例えば国選弁護などは可能なんでしょうか。

【内田氏】本人がやりたいのであれば、コンフリクトが無い範囲で事前許可のもと可能ですが、私個人はやっていません。まず、刑事事件ですが、メインの会社業務が一日中あるので、刑事で機動的に動けないのがインハウス最大のデメリットだと思います。それでは被告人、被疑者の方に迷惑がかかり、弁護士として無責任だと思いますので、やらないことにしています。委員会も参加できればいいのですが、弁護士だから社用以外でいつでも外出してもいいと特別扱いでは、インハウスが組織に根付かないのではないかと思います。今法曹人口問題が議論されていますが、法曹界の事情だけで、インハウスを企業に押し付けても根付かず、結局は問題の解決にはならないと思います。企業と弁護士会が、お互いもう少し歩み寄って、どんな弁護士を必要としているのか、何が採用上のハードルなのか、企業のニーズを把握していただきたいですね。

【熊野氏】インハウスと個人事件・刑事事件に関しては、難しい問題であり、様々な考え方を持っている方がいると思います。当社は規則上は個人事件も長の許可を得れば可能ですが、私個人としてはやってはいません。刑事弁護については研修として1件、当番弁護から被疑者国選、被告人国選と受任しました。一度はまず、やってみようと思って、周囲の方に理解を頂いて、内容は勿論言えないですが、今刑事事件をやっていますということだけ伝えて、何も言わずに電話に立ったりしてもそれは聞かないで下さい、FAX も私が取りますという風にやりました。やってみて、自分の能力がもっと高くて処理能力もスピードも、そして体力もあれば両立はできるのではないかと思いました。また、会社からも困るからやめてくれと言われたわけでもありません。ただ、会社の業務を支障ない程度にこなして両立するというのは、自分の今の能力的にはできないと判断したのでやっていませんが、会社によりますし、自分の能力との兼ね合いだとは思いました。委員会については、京都の先生方との接点を持つという効果もありますしできる限り毎月参加しています。業務スケジュールによっては仕事が追いつかなくて行けないということもたまにあるのですが、委員会に関しては十分対応可能<だと思います。

【森田氏】私は、個人事件は無理です。というのは、個人事件を受任すれば、大抵その1日では終わらず、何日間かその事件に関与しなければならず、そうすると、会社の業務に支障が出ますから。大阪弁護士会の活動については、同弁護士会の業務改革委員会の部会には参加しています。弁護士会の研修も業務に役に立ちそうなものをセレクトして出席しています。

企業内弁護士がもっと広まるためには

【鈴木幹事長】司法制度改革で、インハウスのロイヤーが増えることが我が国の社会にとってもいいことではないかということで、皆さんそのための観点からするとフロンティアの面はあると思うのですが、まだまだ多くの会社に広がっているわけではない。どういう条件が企業側、弁護士、或いは弁護士会側に整ったら、もっと広がるのだろうとそういう観点で、一言ずつお願いできたらと思うのですが。

【柳楽編集長】先程内田先生の方からちらっと出ましたよね。弁護士だから特別扱いというのではなく、企業に合わせた人材マッチングというか。

内田氏

【内田氏】そこの部分もありますし、弁護士会から企業法務に対して正当な評価がされているのかやや疑問に思っています。弁護士会では、特殊な状況にある弱者を逆境から引き揚げることが「公益」だと理解されているように思うのですが、大多数の普通の人たちを幸せにするために企業が行っている活動をサポートすることが何故公益とみなされないのか、私はものすごく不思議です。普通の人は会社に勤めてお給料を貰って、企業が売っているサービスとか商品を買って生活しているわけじゃないですか。そのサイクルをよりよくするということは、社会にとってすごく大事なことだと思います。私はそれほど弁護士会に関与していないので、穿った見方かもしれないのですが、企業の存在と企業法務というのはもう少し正当に評価してもらいたいです。

【柳楽編集長】企業が傾いたらそこで働いている従業員とか取引先の人とかみんな不幸になる時がありますからね。

【鈴木幹事長】では、熊野さん。

【熊野氏】まずはインハウスを採ることのメリットを企業に実感してもらえることが大事なので、例えば法律事務所からの出向などをきっかけに、採ってみようかとなるかもしれませんし、敷居が高いという漠然としたイメージを取り除くことが必要だと思います。

【柳楽編集長】他の会社でうまくいっている例が広がればいいのですよね。

【熊野氏】そうですね。

【内田氏】業界単位で進んでいますよね。

【柳楽編集長】取り組みの早い業種ってありますものね。

【鈴木幹事長】鈴木さんどうですか。

【鈴木氏】まずは、我々が認知してもらうということが草の根運動なのかなと思っているのです。ですから、我々が認知してもらって、もう一人採りましょうよとかそういう動きでいかないと、中々トップダウンでいきなり変わるというのは無理ですので。あとは今回の弁政連の座談会もそうですが、日本組織内弁護士協会も、ロースクール生とか、修習生相手にシンポジウムをやったりして、こういうのがあるのだと地道にやっていくといく中で、意識改革を図っていくことが必要なのかなと思っています。

【森田氏】企業内弁護士を採用する会社にとってはコストがかかるわけで、結局はどんな付加価値を企業内弁護士が提供するのかということに尽きると思います。弁護士会の方からこういう付加価値が提供できますよ、他の色々なインハウスを採った例をひいて、こんなことができますよ、こんなこともしますよ、ということをアピールしていかないと、企業はコストをかけてまで採ることはないです。ただでさえ今、大企業でもリストラを敢行している中で、間接部門の、いってみれば事業にブレーキをかけるような側の人材を採るのかというと、なかなか難しいのではないかと思います。


▲このページのトップへ