弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

若手企業内弁護士大いに語る
(3/5)

企業がインハウスに求めているもの

【柳楽編集長】企業がインハウスに何を求めているのか、という点については、皆さんのご経験を踏まえていかがでしょうか。

【森田氏】私の場合ですと、当社の上層部は、今の私に、単に受身で契約書チェックとかではなく、法的には問題ないかもしれないが、ビジネスとしては成り立たないというような判断までできることを求めているような気がしています。つまり、普通のビジネスマンが持っているようなビジネス感覚を持った弁護士です。ですから、単に来た契約書をチェックする、これは法的には問題ないという判断だけではなくて、戦略的にこういうビジネスであれば、「こんな条文入れてみましょう」というような提案ができる。そこくらいまで、求めているような気がします。レベルはかなり高いと思いますが。

【鈴木幹事長】では鈴木さんはいかがでしょうか。

【鈴木氏】私の場合、何を求めているのか整理しきれていない部分があるように感じます。とりあえずビジネス感覚を持って法律相談をこなすことが期待されているのは間違いないのですが、社内弁護士として、もっと戦略的にビジネスを展開する上で役立ちたいという思いもあります。企業側に、こういう専門家を使ってビジネスを展開していこうという意識があると、色々やってもらいたいということになるのだと思うのですが、多くの企業はとりあえず採ってみた。では、彼らは何ができるんだというところまで全部整理できていないと思うのです。もっとも、この点は、インハウスが自ら積極的に働きかける必要がある部分ではあると思いますが。

【鈴木幹事長】熊野さんどうでしょうか。

熊野氏

【熊野氏】当社の場合も私は一人目という形で採用されましたので、今、鈴木さんがおっしゃったように、当初は明確に何をやらせたいというのがカッチリ決まっていなかったのだと思います。ただ、法務部門全体の底上げというのがまずあるでしょうし、そういう意味では専門的な能力を持って、素早く的確に処理ができる能力の部分を求められて入ったのだと思います。とはいえ便利使いと言えば言葉が悪いですが、早い、便利だけで終わっていてはやはり面白くないし、わざわざインハウスという形で採る以上は、そこで止まっていたくないというのは少なくとも部門の長までにはあるのだと思うのです。部門としては、もっと戦略面に突っ込んでいける法務、そのためには基礎的なことはさっさと処理ができることを踏まえて、よりプラスアルファが提供できるということが最終的には求められているのだと思います。当社では今年の1月にもう一人入社しまして、自分で言うのも変ですが、一人増えたというのは、それなりに評価してもらえたのかなと思っています。

【森田氏】これは熊野さんが要望したのですか?一人増やして欲しいと。

【熊野氏】そうです。私も仕事が回らないからという理由での要望もありますし、上司も、もっとインハウスを採ってやれることがあるだろうという感じで。当社は、社風もあると思うのですが、インハウスというものに対して面白いと考えてくれていて、理解があるのです。

【鈴木幹事長】内田さんのところは同じようなスタッフ何人いらっしゃるのですか?

【内田氏】持株会社と通信三社と呼ばれている大きな子会社で20人で、中堅と新卒が半々くらいです。他にNY 州の弁護士資格者が4人います。おそらく、法務のトップが強い法務部を作りたいという方針に関係していると思います。今の法務部は、単なる文書チェック係ではなく、案件にあるリスクを見つけてリスクの判断をする、会社の為の仕事をすることが求められています。会社の全体を見て仕事をする法務にならないとビジネスサイドに信頼してもらえない、そうすると、法務がいくらリスクを精査して強くアドバイスしても、受け入れてもらえないことが出てきます。そういう信頼性を前提に、法務部門が有効に機能するので、積極的に弁護士を採用しているのだと思います。

インハウスの待遇

【鈴木幹事長】では次に、インハウスとしての社内の処遇について、差し支えない範囲でお話しいただけますでしょうか。

【内田氏】私は役職無しの法務部員で、給与体系も一番下で働いています。弁護士手当という名目では付かないのですが、個人の元々の能力に対する基礎給としてわずかに付けていただいています。ただ、弁護士会費は負担してくれていますし、やりたいと言えば公益活動も勉強になるから行っておいでとサポートしてもらっています。

【柳楽編集長】ここに居る皆さん、会費は会社持ちですよね?

【森田氏】私は会社持ちですね。

【鈴木氏】ええ。私も会社持ちです。

【森田氏】ただ、ここで確認すべきことは直接会社が振り込んでくれているか、給料に上乗せされているかというところで、私の場合、給料に上乗せです。ですから、税金が引かれてしまう。

【内田氏】・【熊野氏】私は経費で会社が処理をしています。

【柳楽編集長】そこは分かれるのですね。

鈴木幹事長

【鈴木幹事長】内田さんの場合は、完全に普通の社員と基本的には同じ。それに手当て的なものが僅かに付くと。弁護士手当というわけではないのですね。

【内田氏】でも逆にその方がやりやすいというか、企業には馴染んでいき易いです。

【柳楽編集長】資格を持たれていない他の法務部の同期、同時期に入社された方との差をつけてしまうと、組織の一体感をそこねるみたいなのがあるのでしょうね。

【内田氏】現在弊社は事実上、弁護士しか採用していないので、同期との差はありません。ただ、元々法務にいた資格が無い方も皆さん誇りを持って仕事をされていて、事業に対する造詣や企業法務のノウハウ等に長けた方ばかりなので、変な関係にはならないようにしたいですね。本当に法務部門が組織として強くなるためには、部としての士気にも関わるので、正社員として入っている以上待遇面での差は無い方がいいと思います。

【鈴木幹事長】では熊野さん、いかがですか。

【熊野氏】先程の会費の面から言いますと、当社の場合は給料に上乗せではなく、経費という形です。弁護士手当という形での明確な手当はありません。そういう会社がほとんどではないかと思います。給与体系をインハウス一人採ったら全部組みなおすとなるとちょっと大変ですので。ただ、その人のやっている仕事と達成度という、他の社員と同じ基準では見るのですが、結果的に見ると同世代の方よりもやっている仕事のレベルが難しくなるので、それに達成度をかけ合わせとなると、相対的には同期の中では可能な範囲で評価は高いのだろうなとは思います。それは別に弁護士だから絶対というよりも、今までおかれた状況的にたまたまそうなったというようなことです。友人と話していても、そういう所が多いように思います。

【鈴木氏】私も基本的に正社員なので、特に手当が乗っているというわけではありません。会費は給料にON されるので、これが手当てに相当するともいえますが、税金が引かれてちょっと残念だなというのがあります。私以外の普通の正社員も専門性が高いので、弁護士だから特別ということもなく若干色がついているくらいの評価という感じです。皆ベテランで、私より年上の人の方が多いですし、やはり証券会社で20年も30年もやっている方々と、私はようやく4年目ですから、業務の知識は完全に現場の皆さんの方が通じていますので、私としてはいかにそこで付加価値を出せるかというところです。単に私が資格を持っているからといって優遇するわけにはいかないと思います。そこは会社の組織の成り立ちとか、人員構成とかによって処遇できる場合とできない場合があるでしょうし。

【柳楽編集長】会社がもともと持っている給料体系もありますしね。

【鈴木氏】そうですね。そういうことなので、基本的には処遇は正社員と同じです。

【鈴木幹事長】では森田さん。

【森田氏】先程言いましたように、会費は給与に上乗せです。給与に関しては、入社時は私の前の事務所の年収に一応あわせていただいた、ということで、同じ歳の人に比べると少し早いというか上の方でしていただきました。その後は実力次第といいますか、成果に見合って評価され給料が決まります。なお、今は管理職ですので、残業手当は出ていません。

【柳楽編集長】他の方は出るのですか?

【内田氏】・【熊野氏】出ます。

【鈴木氏】私も給与体系として残業手当は出ない役職です。


▲このページのトップへ