弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

東日本大震災支援活動の
現状と課題(2/4)

復興に向けての基本的視点とこれまでの取組み

【鈴木幹事長】大変な被災状況だということを今おうかがいしたのですが、復興に向けてどういった考え方、方向性であるべきか、あるいはそれに基づいた各弁護士会での取り組みはどうなっているか合わせてまたおうかがいできればと思います。

石橋氏

【石橋氏】被災地は三陸沿岸ということで、いわゆる弁護士過疎地域です。被災地の弁護士は合計9名です。岩手弁護士会の会員は80名ですが、ほとんどが盛岡に集中しています。そうすると被災地の法的支援をどのようにするのかということになると、結局、盛岡をはじめ内陸から弁護士が行って現地でやならければいけない、そういうことになります。うちは80名の単位会で本当に小規模単位会です。被災地のマンパワーも足りない、県全体のマンパワーも足りない、これをどうやって、やっていくのかというのが大きな課題だと思っています。2つ目はやはり実際の被災地と離れているので、いかに情報をきちんと把握をして、特に本当に被災者の方が今どんなことで困っているのかということをきちんと把握をしなければいけない、どうも盛岡にいると、やはり現地の雰囲気がわからない、細かいこと、人の機微も含めて分からないことがたくさんあると思うのです。

そうすると被災地の方が今何を求めているのかということを的確に把握して、それに的確に対応していくことが大事だ、ということだと思うのです。私たちは今も毎日本部で対策会議をやり、岩手弁護士会のメーリングリストを災害対策本部がそのまま使ってやってきている、毎日災害対策本部で議論したことを会員にすぐ終ったあと流すということをやって、情報共有化を図っていくことで、被災地の需要が何なのかということを常にアンテナを張って見てきている、そういうことが大きな特徴としてあるのかなと思っております。

【鈴木幹事長】勿論、震災とは関わりのないお仕事も当然抱えながらの話で本当に大変なのではないかと思っております。

【石橋氏】はい。ですから私たちはすぐに他会の先生に支援を求めました。ですから、もう4月の11日から青森県弁護士会、秋田弁護士会はじめ、北海道4会、最初は近弁連、兵庫県弁護士会、大阪弁護士会、あとから京都とか近弁連の先生方に来ていただいて、わざわざ被災地に行っていただきました。その時に当会の会員が最初は2名、自分の車を運転して被災地に連れていきました。当時は被災地の一箇所で4つの避難所の法律相談を毎日やっていました。土日曜も含めて。当会の若手会員が一生懸命車を運転して、当時は片道3時間くらいかかっていたのです。

行って帰ってきて6時間です。被災直後は正に道路も悪いし、渋滞もしていますし、ということで本当にうちの若手の会員は大変だったと思います。

【鈴木幹事長】宮城県ではいかがでしょうか?

【内田氏】これだけ地域が広範で被災者が多いと復旧、復興の程度も地域や人によってものすごくまちまちなのです。いまだに南三陸町でライフラインのうちの水道すら通っていないというところ、電気はもちろん水道すら通っていないという土地があるわけです。

そういう人達に対する支援というのと、仙台市の町中のように一応は普通の生活はできるという中で必要となる法的支援のあり方というのは多分違うのだと思うのです。そういうものがあるというのをまず配慮しなければならないというのが1つ。あとは法的支援を必要とする被災者というのは、電話でも現地相談でもいいのですが、法律相談に来る方だけではない、何十万単位で法的支援を必要としている人はいるから、法律相談だけに特化していたのではダメだ、つまり情報提供という形でどんどん弁護士会の方から被災者に情報発信しないといけないというのがあると思います。あとは、弁護士会のできる活動というのは、被災者に直接向けられた活動と、国や自治体へ向けた活動、いわゆる提言と言われる活動、あとは仙台会外の弁護士会の会員に向けた活動と大きく分けるとこの3つに分けられるのではないかと思うのですが、それのバランスをうまく取りながら、特に会の役員になっている人達はバランスをうまくとっていきながら、やっていかなくてはならないかなと、感じているところです。

【山谷氏】仙台会は会員が360名ほどおりまして、その意味では活動はかなり広くできました。日弁連あるいは他会の支援は殆んど頂戴しないでできました。その意味では特に若手の先生方を中心にかなり活発に動いていただきまして、それは本当によかったと思っています。3月11日に震災があって、1ヶ月程度は仙台地裁も殆ど動いていなかったものですから、弁護士としては日常業務と違うところで時間を割けたというのは時期的には幸いだったかなと思います。

【鈴木幹事長】福島県の状況を高橋先生お願いします。

【高橋氏】福島県弁護士会は153名の会員がいるのですが、福島と郡山で3分の1ずつ、残り3分の1が他の4支部にちらばっているという形なので、県としての組織的な活動が、他の150名規模の会と同じようにできるかというと、そうでもなくて、どちらかというと単位会が6つあって、それが連合体を作っているというような状況なので、マンパワーの集中という部分は非常に難しいところがございます。相談体制の構築というのは中々難しいということで、いち早く日弁連の方にフリーダイヤルができるということで、あれは3月23日くらいだったかと思うのですが、そちらに全部誘導するようにお願いして、各行政にもそういう案内を出しました。何とか3月29日から各支部でも電話相談を開始することができて、郡山、福島、会津若松の3箇所で、3拠点で始めて、後でいわきがくっついてきたという形で電話相談が開始され、そうした中で各単位会から支援の申出をいただいて、最終的に郡山ビッグパレットには東京3会から毎日4名の弁護士さんに、4月11日からきていただいております。いわきの方には、いわきと相馬は関弁連から応援に来ていただいて、福島支部では27箇所の避難所の巡回相談をやり、郡山支部ではビッグパレットのほかの巡回相談を地元の会員でやり、白河は4箇所、会津若松は45箇所、会津若松には新潟に全面的に支援していただいて3月中から現地調査に来ていただいて、今でもずっと続けていただいております。相馬支部が22箇所の相談を相馬支部会員と関弁連から派遣していただいている先生方、いわき支部は28箇所、これもいわき支部の会員と関弁連の先生方に来ていただいてやっております。

今回の一番の問題はやはり原発の問題で、原子力損害賠償の関係で、審査会で指針が出るのですが、一般の人たちがどうしていいかわからない、そういうことからこれは新潟県弁護士会が最初に作ってくれたのですが、新潟県の震災被災者ノートで、被疑者ノートにヒントを得て作ったものなのですが、それはいいものだということで福島県である程度改訂させていただいて、そういったものを10万部作ろう、被災者は10万人いるのだから皆に行き渡るようにという予算組みをしまして、とりあえず10万部一度に入れておくところがないので、1万部を作って6月25日県内8箇所で説明会を開いたところ、3,300人くらい集まりました。準備した1万部の被災者ノートはほぼなくなってしまいました。いわきは50名くらいの会場しか確保できていなかったところ、そこに600名くらい来て、非常に混乱しました。その反省があって7月10日にもう一度やったところ、関弁連から20人くらいの先生に応援に来ていただいて、スムーズに満足してお客さんにお帰りいただいたという報告を受けています。この被災者ノートというのは、とにかく今のうちから、記録を整理しておいて、証拠がなければ請求もできないので、そういうために作ってくださいということで、作りました。これの説明会を今度、全国でも各単位会の方で、これはいいものだということで、やっていただいたというところです。これによって不安を紛らわせる効果が考えられ、また、多数の被害者を組織化するに際し効果があると期待されています。次に迫っているのが、そうした被災者をどうやって受け入れて、組織だってそういう請求に導くのかという非常に頭の痛い問題があり、なおかつ、この間ADR の枠組みが出来てきたと新聞報道にされたのですが、今度それにどう関わっていくかということが大きな問題点として我々にのしかかってきています。


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