弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

任期付公務員 大いに語る
(4/4)

これからの弁護士にメッセージを

【鈴木幹事長】では、最後にメッセージをいただいて、今日の座談会を終わりたいと思うのですが、米田さんからお願いできますか?

【米田氏】数多くの百聞は一見に如かずの体験が待っていますので、是非積極的にチャレンジいただきたいと思います。これは自分がそうだったから思うところであって、そうでなければならないというものではありませんが、ある程度の弁護士経験があった方が、自分が今得ている体験がいかに貴重なものであるかをより理解でき、また当該経験をどう生かすかをより戦略的に具体的に考えられるのではないかなと思います。
それから、採用の際に面接担当の方から言われて違和感というか不思議に思ったのですが、「弁護士の先生方が普段されないような雑用もしていただくことになりますよ」という趣旨のことを繰り返し言われたんです。これについて入庁後、真意を尋ねたところ、過去に任期付公務員の中に、こういったロジスティクス、例えばコピーやスケジューリング等の業務について、これは弁護士がする仕事ではないと言ってなさらない方がいらっしゃり、それを警戒して念押ししたとのことでした。この話を聞いて、表現が難しいですが、個人的にはすごく勿体無いと思いました。もちろん、弁護士としての専門知識を生かして貢献することも求められていることの一つではありますが、やはりどのような業務にも積極的に謙虚に取り組むことで官僚の方々と今後も続くような信頼関係を構築することができ、それが大切な財産になると思いますし、またロジスティクス業務からも多くの得るものがあると思います。私は弁護士としてはもうすぐ丸10年ですが、入庁した時の意識としては公務員1年生だと思っておりました。逆に言えば、そのような意識を持つことに違和感がない方でしたらどなたでもやっていけると思います。

【田中氏】私も面接の際に同じことを聞かれましたが、今、米田先生がおっしゃったことと全く同感です。
さらに、2年間の経験から、私は次のように感じております。たとえ一定期間(任期付公務員)であったとしても、組織に所属し、その中で行政官らとともに仕事をすることは、貴重な経験でした。それは弁護士としてのキャリアという意義だけでなく、自国の事務に関与させていただくという有り難い経験であったと思っています。
任期付き公務員に応募するには、弁護士としてある程度の経験があった方がいいということについても、米田先生のご意見に同感です。

【井上氏】政策を作る過程などの行政庁ならではの経験を持つことは、弁護士としてどのような分野に進んでいくとしても自分自身の特徴になると思います。また、私は弁護士としての経験が浅いまま任期付公務員となり、そのことに対する迷いや不安もあったのですが今を逃すともう二度とチャンスはないかもしれないと思って応募しました。興味を感じるポジションの募集があれば、弁護士としての経験年数にはあまりこだわらず思い切って応募してみるのもよいのではないかと感じています。

藤田氏

【藤田氏】とにかく視野が広がるし、人間としての幅が広がりますし、これまで自分がいかに狭い世界で物を見ていたかというのを感じさせられました。これまで出会ったことのないようなタイプの方とも多数出会えますので、自分の価値観みたいなものがガラッと変わるというのはザラですし、本当に面白い仕事です。確かに弁護士経験は一定程度あった方がよりよいのではないかとは思いますが、まずはとにかくチャレンジしてみるのがよいと思います。そこに面白い世界があるのは間違いないと思います。

【鈴木幹事長】とにかく行政庁に入られて今の仕事以上に満足している、いい経験でもあるということで、国の役にも立っているし、そして自分の役にも立っているとうことで是非後進が続々続いてほしいという企画の意図も達成できたのではないかと思います。本当に今日はお忙しいところどうもありがとうございました。

(平成23年2月2日於霞が関弁護士会館)

 


 

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