弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

任期付公務員 大いに語る
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具体的な仕事内容

【鈴木幹事長】では、現在どういったようなお仕事をしているのか具体的にお話いただきたいと思います。

【藤田氏】業務の種類としては大きく2つあり、1つは他の省庁や証券取引所が作る法制度や規則などに、産業界のニーズなどを汲み取ってもらえるように適切にアピールをしていくというものです。もう1つは、経済産業省の所管の法律や指針・ガイドラインなどを使って、M&A実務などがスムーズに回るような仕組みを作っていくというものです。最近自分が関わったものですと、前者については、東京証券取引所が独立役員制度を導入したときの各種調整や、法務省法制審議会における会社法制の見直しの提案に関する経済産業省の意見書の策定などがありました。後者については、M&Aの制度の円滑化・多様化を目的とする産業活力の再生及び産業活動の促進に関する特別措置法の改正を担当してきました。

【柳楽氏】法案の文章を作るとかそういった作業をされているのですか?

【藤田氏】はい。正にそこは経産省プロパーの方と一緒に法案のドラフトを作ったり、各省と協議したり、という感じです。

鈴木・柳楽

【鈴木幹事長】弁護士としての専門知識をストレートに発揮できる仕事ですね。

【藤田氏】そうですね。

【鈴木幹事長】井上さんは具体的にはどんなお仕事をされているのでしょうか。

【井上氏】平成22年12月に、第3次男女共同参画基本計画という男女共同参画に関するアクションプランができたのですが、去年1年間はその策定が主でした。計画の中にどのような政策を入れるか経産省、厚労省、文科省、総務省、財務省などの様々な省庁と相談したり、有識者の会議を経て作り上げていきました。あとは公共調達のポジティブアクションといって、事業の委託先を入札で選ぶ時に、その企業が男女共同参画に取り組んでいる場合には加点するといった取組推進などをやっています。他にも、局の中に広告代理店の方、民間企業のご出身の方等もいらっしゃっているので、そういう方と一緒にポジティブ・アクションを世の中に広めるためにはどうしたらいいかということを考えたり、色々なことをやっています。

【田中氏】外交交渉には、二国間交渉と多数国間交渉がありますが、私は主に二国間の経済連携協定交渉を担当する課に属しております。1つの経済連携協定交渉は全体として十以上の様々な専門分野の交渉から成っているのですが、私はそのうちの知的財産分野と競争政策分野を担当しています。
交渉は継続して進められますが、各回の交渉の前に、日本の交渉官の発言・応答要領となる「対処方針」を作成する等の準備を行います。例えば、知的財産分野の交渉に関する「対処方針」作成の場合ですと、知的財産分野の条約案をドラフトし、相手国との交渉を効果的に進めるための発言・応答要領等を準備していきます。その際、知的財産に関する国内法を所管している全ての関係省庁の方々と事前にすり合わせをした上で準備を進めますが、その取り纏めを外務省が行います。
二国間交渉の場合、自国と相手国で交互に会合を開催し、交渉の回を重ねて行きますが、毎回、両国の関係省庁の専門家らが参集し、事前の準備に基づいて議論を進めます。そして、各回の会合終了後は、すぐに記録を起こし、会合参加者全員による内容確認を了した上で、外交公電として発出します。
毎回、以上のような手順で交渉を重ねていくのですが、首尾よく全ての専門分野の交渉が妥結すると、交渉完了となります。
妥結した協定の条約案については、両国の法律担当部局が主導してリーガル・スクラビングを行い、協定全体の文言精査を行います。その上で、内閣法制局審査を経て国会に提出されるという流れになっています。

【鈴木幹事長】米田さんはどういったお仕事を。

【米田氏】私は公益通報者保護制度全般を業務内容としています。まず、公益通報者保護法は附則第二条で施行後5年の平成23年4月を目途に法の見直しが求められていまして、その関係で昨年6月より消費者委員会に設置された公益通報者保護専門調査会でこの点について調査審議がされておりましたので、所管省庁として色々資料を提供したり、求めに応じてご説明をしたり、消費者庁としての考え方を提示したりしました。また、公益通報者保護法が国民の生命、身体等の利益にかかわる法律が制定されたり廃止されたりすると、関連政令を改正しなければならない構造になっているため、既にこれまでに3回政令改正を行いました。そのほか制度全体の運用の充実のため、広報資料としてハンドブックを作成したり、研修会・説明会を開催したり、アンケート調査を実施したり、ウェブサイトの維持運営をしたりもしています。また、法解釈に関する問い合わせや取材も日々ありますのでその対応もしますし、国会・委員会などで公益通報者保護制度関連の質問がなされたときの対応もします。


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